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国会事故調は「犯人探し」に陥ることなく、原子力行政の抜本改革を

「3つの視野狭窄」を超え、「原子力行政改革委員会」へと進化せよ

2012年5月25日(金)

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 筆者は、東京電力福島第1原発事故を受け、内閣官房参与として2011年3月29日から9月2日まで、官邸において事故対策に取り組んだ。そこで、原発事故の想像を超えた深刻さと原子力行政の無力とも呼ぶべき現実を目の当たりにし、真の原発危機はこれから始まるとの思いを強くする。これから我が国がいかなる危機に直面するか、その危機に対して政府はどう処するべきか、この連載では田坂広志氏がインタビューに答える形で読者の疑問に答えていく。シリーズの4回目。

現在、国会事故調査委員会が大詰めを迎えていますね。いよいよ、事故当時の大臣の聴取の段階となり、すでに17日には当時の海江田万里経済産業大臣の聴取を終え、27日には枝野幸男官房長官、28日には菅直人総理大臣の聴取が予定されています。この国会事故調は、6月には最終報告書を出す予定ですが、田坂さんは、この国会事故調の役割を、どのようにお考えですか。

田坂:端的に申し上げれば、国会事故調の役割は、「国民からの信頼の回復」と思います。もとより、国会事故調には様々な役割が期待されており、黒川清委員長を初めとする、重責を担われる事故調のメンバーの方々の努力には、深く敬意を表しますが、国会事故調の究極の役割は、原子力行政に対する「国民からの信頼の回復」と思います。

 なぜなら、福島原発事故によって「絶対安全の神話」が崩れ去り、政府の原子力行政に対する国民からの信頼は、完全に失われてしまったからです。従って、国会事故調には、国民を代表する立場から、「3つの課題」に取り組み、原子力行政に対する国民からの信頼を回復するという重要な役割があると思います。

その「3つの課題」とは、何でしょうか?

田坂:第1が「事故原因の徹底的究明」、第2が「組織的責任の明確化」、第3が「原子力行政の抜本的改革」です。この3つを行わないかぎり、原子力行政に対する国民からの信頼は、決して回復しません。そして、この信頼が回復しない限り、原発の再稼働はもとより、福島原発の廃炉や脱原発の政策さえ、円滑に進めることはできないでしょう。

国民が事故調に負託した「3つの課題」

国会事故調の役割とは、第1の「事故原因の徹底的究明」ではないのでしょうか?「組織的責任の明確化」や「原子力行政の抜本的改革」という、第2、第3のミッションも担う必要があるのでしょうか?

田坂:そもそも、「何のための国会事故調か」ということを考えてみるべきでしょう。国民が事故調に負託しているのは、単なる「事故原因の徹底的究明」だけではありません。二度と福島原発事故のような被害を起こさないための「原子力行政の抜本的改革」をこそ求めています。国会事故調は、その国民の全面的な負託に応えるべく、迷うことなく、この「3つの課題」に取り組むべきでしょう。

 もとより、国会事故調の方々は、どなたも高い志を持って仕事に取り組まれていますので、これら「3つの課題」についても、明確に視野に入れて取り組まれていると思いますが、ただ、これらの課題に取り組まれるとき、気をつけるべき落とし穴があります。

それは何でしょうか?

田坂:「視野狭窄」に陥ることです。すなわち、これら「3つの課題」に取り組むとき、意図せずして「視野」が狭くなってしまう可能性があります。言葉を換えれば、取り組むべき「課題」を限定してしまうという落とし穴です。

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「元内閣官房参与・田坂広志が語る原発危機の真実」のバックナンバー

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「国会事故調は「犯人探し」に陥ることなく、原子力行政の抜本改革を」の著者

田坂 広志

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授

1974年東京大学卒業、81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。米シンクタンク客員研究員などを経て、2000年多摩大学大学院教授に就任。2011年3~9月、東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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