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まだまだ続く中国レアアース「狂奏曲」

政府の介入が事態をより難しくしている

2012年5月29日(火)

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 中国のレアアース輸出規制が国際問題になっている。日増しに中国に対する日米欧の圧力が高まる一方、中国国内では価格が乱高下するレアアースをめぐり、中央政府、地方政府だけでなく、官僚や一般市民などを巻き込んだ混乱が今なお収まっていない。迷走する政策が有効に機能しないまま、現場の環境汚染も歯止めがかかっていない。

 中国が一党独裁で、指導者の命令一下で統制がとれている社会と考えるのは今ではおとぎ話である。中央省庁、機関、地方政府、中央企業、地方企業、一般市民が、それぞれの既得利益で動く。市場経済の浸透は中国社会を確実に変貌させた。

 世界貿易機関において日本政府は欧米とともに中国のレアアース輸出規制に関するパネル設置を求めたが、中国政府の反対にあって、パネル設置はまだ実現していない。パネルを設置して、協議を重ねて中国の非を認めさせることは国際関係において重要な意義をもつものの、結論が出るまでに相応の労力と時間がかかることは必至である。仮にパネルにおいて中国政府の協定違反の結論を勝ち得たとしても、中国国内の経済・社会情勢に中央政府が有効な政策を打ち出せるかどうかは、また別の問題となる。

事件は「地方」で起きている

 報道から見た中国国内の状況は混迷の度を深めている。

 場所は江西省の南部にある贛州(かんしゅう)。福建省、広東省との省境にある山間地帯はレアアースの開発で深刻な環境汚染が進行している。

 中央政府が開発規制を打ち出す中、高騰するレアアースの開発をめぐり、関係するすべてのプレーヤーが参戦する争奪戦を繰り広げている。

 中央政府はレアアースにかかわる業界秩序の構築に向け、採掘許可証の厳格な規制、採掘許可証を有する業者に対する採掘量の厳格な規制、レアアース精錬企業に対する厳格な割り当てなどを実施している。こうした「整頓」政策により、贛州の採掘場も1000余りから100カ所に削減された。贛州レアアース鉱業有限公司が採掘者の管理、レアアースの取引や売買に関して統一的に管理する責任を負っていて、国家の割り当てを超過して採掘や生産を行った場合、処罰を受ける。しかし、これは建前の話である。実際には管理の中で相当量の「漏れ」があり、こうした「漏れ」を管理・監督することは不可能だ。管理から漏れ出たレアアースは、「ヤミ」の市場に消えていく。

 中央政府による管理が日増しに強まる一方で、低コストで高利潤が得られるレアアースの採掘、生産、取引といったサプライチェーンに参加するプレーヤーが政府管理から「逸脱」するのは当然だろう。宝の山を目の前にしてただ見つめているだけというのは市場化した中国の人々にとって酷な話である。

コメント1件コメント/レビュー

中国政府がレアアースの輸出制限は『環境汚染を食い止めるため』と言っているのに何故日本政府は汚染浄化技術での協力を申し出ないのか。日本だけでなくアメリカや他のヨーロッパの国々でも鉱毒や化学汚染物質を取り除く技術は中国よりは遥かに高いレベルにあると思うのだが。この問題で中国の公式見解を聞いてから不思議でならない。それとも既に中国には多くの国が申し入れしているが、中国から『只で提供しろ』とでも要求されて合意出来ていないのか。環境技術も開発に金と人を投入して得たのだからある程度の対価は要求するにしても、『技術料を値切られたから提供しない』というのもおかしな話だ。医薬品の技術と共通するものがある。エイズはアフリカで大発生しているが、先進国で開発された新薬は馬鹿高くて発展途上国の貧しい人達には手が出ない。かといって放置すれば益々エイズは蔓延する。それにしても中国人の『金儲け第一主義』は相変わらず半端ではない。規則でも法律でも金儲けの為なら平気で犯す。中国政府は過去にも違反が極端な場合は逮捕、裁判、死刑の3ステップを1ヶ月以内に実施して『みせしめ』として違反の沈静化を促す方法をとっているが、レアアースがらみで死刑になったというニュースは聞こえて来ないので状況がよく分からない。何れにしろ、環境技術での中国への協力の申し出を日本政府は大々的に実行すべきだ。中国が乗って来ない場合でも、『それなら輸出規制を解除しろ』と正々堂々と要求出来るというものだ。環境汚染を言い訳にされて黙っているのは大間違い。(2012/06/07)

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「まだまだ続く中国レアアース「狂奏曲」」の著者

青山 周

青山 周(あおやま・めぐり)

経団連中国事務所長

経団連事務局で地球環境・エネルギーグループ長、アジアグループ長などを歴任。2012年4月に中国事務所新設により初代所長に就任。中国上海の復旦大学に留学経験があり、中国と環境分野に強い。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中国政府がレアアースの輸出制限は『環境汚染を食い止めるため』と言っているのに何故日本政府は汚染浄化技術での協力を申し出ないのか。日本だけでなくアメリカや他のヨーロッパの国々でも鉱毒や化学汚染物質を取り除く技術は中国よりは遥かに高いレベルにあると思うのだが。この問題で中国の公式見解を聞いてから不思議でならない。それとも既に中国には多くの国が申し入れしているが、中国から『只で提供しろ』とでも要求されて合意出来ていないのか。環境技術も開発に金と人を投入して得たのだからある程度の対価は要求するにしても、『技術料を値切られたから提供しない』というのもおかしな話だ。医薬品の技術と共通するものがある。エイズはアフリカで大発生しているが、先進国で開発された新薬は馬鹿高くて発展途上国の貧しい人達には手が出ない。かといって放置すれば益々エイズは蔓延する。それにしても中国人の『金儲け第一主義』は相変わらず半端ではない。規則でも法律でも金儲けの為なら平気で犯す。中国政府は過去にも違反が極端な場合は逮捕、裁判、死刑の3ステップを1ヶ月以内に実施して『みせしめ』として違反の沈静化を促す方法をとっているが、レアアースがらみで死刑になったというニュースは聞こえて来ないので状況がよく分からない。何れにしろ、環境技術での中国への協力の申し出を日本政府は大々的に実行すべきだ。中国が乗って来ない場合でも、『それなら輸出規制を解除しろ』と正々堂々と要求出来るというものだ。環境汚染を言い訳にされて黙っているのは大間違い。(2012/06/07)

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