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美人モデルが泣いて怒った高橋由一の肖像画

2012年6月1日(金)

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 開催中の美術展やアートイベントを乗り物代わりに、アートの深部に迫る「アートいろは坂」。今回のテーマは、新巻鮭を描いた作品で有名な幕末明治の洋画家、高橋由一。油彩画の草分けとしてつとに知られる由一は、ある日モデルの女性を怒らせてしまった。

 いくつものかんざしや櫛(くし)を頭にさし、華麗な和装に身を包んだ女性の半身像。幕末から明治にわたる激動の時代に西洋流の油彩画の開拓に腐心した高橋由一(1828~94年)の代表作「花魁(おいらん)」だ。

「花魁」(1872年、油彩、麻布、77×54.8cm、東京芸術大学蔵、重要文化財)

 この絵には、モデルを務めた娼妓の小稲が完成作を見た後で泣いて怒ったという逸話がある。作品と向き合えば、その不満は確かに分からなくもない。何しろ、小稲は当時美人として名高かったと伝えられている。由一の筆は、小稲を決して醜く描いたりデフォルメしたりしたわけではなさそうだが、彼女自身が持つ美しさに対する感覚と由一の表現の間には、相当な食い違いがあったのだろう。

 由一はリアリズム、すなわち写実を徹底し、実物にいかに肉薄した表現ができるかを追求した画家だった。油彩画を始めたのは、徳川幕府の終焉が目前に迫った嘉永年間(1848~54年)に、西洋の石版画を見て感じ入ったからだという。由一は油彩という“斬新”な技法で、過去の日本の絵画にはなかった類いのリアリズムを実現することに力を割いた。では、この絵の小稲はリアリズムを追求した結果、つまり本当の姿を映し出したゆえ、本人が満足できない姿に描かれ、結果的に彼女を怒らせることになったのだろうか。東京・上野の東京芸術大学大学美術館で開催中の「近代洋画の開拓者 高橋由一」展(6月24日まで)の会場を歩きながら、思いを巡らせてみよう。

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「美人モデルが泣いて怒った高橋由一の肖像画」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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