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最年少の従業員は60歳!?

アパレル産業が抱える高齢化の深刻さ

2012年7月3日(火)

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  以前、ある月刊雑誌の取材でビンテージレプリカ系のカジュアルウェアを製造・販売するメーカーを訪ねた。アメリカの各年代のワークウェアやミリタリーウェアを忠実に再現するメーカーだ。すべてのアイテムの縫製は国内の協力工場で行っているという。

 この縫製工場の従業員の年齢を聞いて驚いた。

 メーカーの企画担当者は話す。「最高齢は80歳、最年少は60歳です。あと10年もすればぼくらの製品を縫ってくれる工場は国内になくなるかもしれません」。これは何もこのメーカーだけが特別な状況に置かれているわけではない。他の国内縫製工場も似たり寄ったりの状況にある。

 若い人たちが就職してくる国内縫製工場などほんの一握りである。あとは高齢化したままか、中国人研修生を受け入れて、何とか若返らせているかのどちらかである。だが、中国人研修生を雇うことにも問題がある。彼らは3年すれば帰国するため、せっかく技術が向上しても国内工場に定着しないし、法改正によって以前よりも賃金が上がっている。工場側にとってはあまりメリットがなくなってきているのも事実である。

最も技術が高く、信頼が厚い職人は78歳

 先日、京都の展示会で奥田染工場の奥田博伸社長と会った。奥田染工場は東京・八王子に拠点を構える染色などを専門にする企業である。筆者は訪れたことがないが、かつて八王子は織物の町だったという。駅前には今も織物の町のモニュメントが立っている。しかしながら、現在では日本の生地産地としてはあまり有名ではなくなっている。多くの織物工場や染工場が廃業したからである。

 そんな中にあって、奥田染工場は東京コレクション出展ブランドなどの染めやプリントを手掛けており、その技術力が高く評価されている。

 奥田社長によると、もっとも技術力が高く各デザイナーからの信頼も厚い職人は今年78歳だという。お元気でバリバリと活躍なさっているそうだが、年齢的にあと10年勤務を続けるのは厳しいのではないだろうか。

 一概に年齢で区切るのは良くないという意見もあるが、やはり、平均的に考えるとあと数年ご活躍できるかどうかではないだろうか。

 筆者は以前、和歌山県の高野山のふもとにある高野口産地の織物工場を見学したことがある。この高野口産地はフェイクファーやベロアなど毛足の長い「カットパイル」と呼ばれる生地を製造している。

 織物と編物の両方が併存する産地なのだが、織物工場を見学したところ、工場内で織機の管理や糸継ぎをしているスタッフは、どう見ても60歳以上である。詳しく実年齢を尋ねることはしなかったが、おそらく70歳前後ではないかと見えた。

 繊維・アパレル業界では昨今、国内工場の存続が危ぶまれている。主要製造地が中国をはじめとするアジア諸国に移転したことによる受注減で、資金的に厳しい局面に立たされている。

 同時に、これまで見てきたように従業員の超高齢化にも悩まされている。仮に資金的に問題が無かったとしても、技術者はあと長くて10年勤務できるかどうかである。早ければ5年後にはリタイアせざるを得ないだろう。

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「最年少の従業員は60歳!?」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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