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見事なゴール? 卑劣な恐喝?~ 割れるEU首脳会議への評価

ドイツでは「実はメルケル首相の勝利」との論調も

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2012年7月6日(金)

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 EU首脳会議が、6月28~29日にブリュッセルで行われた。メディアの期待ははっきり言って低かった。6月半ばにメキシコで開かれたG20でほとんど何も決まらなかったことや、どこをどう押しても有効な方策がありそうもないことなどが原因だ。メディアの報道には「やってもムダ」「余計に事態がこじれるだろう」といった悲観論が跋扈していた。

 米ウォールストリートジャーナルは、“欧州の財布を握る”ドイツのメルケル首相が財政同盟の推進に後ろ向きな事実を挙げ、「具体的な解決策が出る可能性は低い」との見方を示した。英エコノミスト誌に至っては、「スペイン、イタリアのユーロ離脱もあり得る」という過激な予想まで掲載した。

「フランスの好パスでイタリアが得点」

 こうした予想に反して6月29日金曜日、EU首脳会議の最終日の朝、世界中の株式市場が大反発した。NYダウ工業株30種は277ドル上昇。会議の争点となっていたイタリアとスペインの株式市場もそれぞれ6.5%、5.6%上昇した。低迷していたユーロも対ドルで2%上がった。米ウォールストリートジャーナルは「期待が少なかった分、結果に浮かれる投資家」と、過剰反応に釘を刺す記事を掲載したが、全体として見ると「サミット大成功」という捉え方が米国や日本で蔓延した。

 この結果を導いたのは、首脳会議が次の2点を承認したことだ。1)欧州安定メカニズム(ESM)が、各国の政府を通さずに直接、銀行に資本を注入できるようにすること。2)厳しい条件なしに欧州通貨制度(EMS)の資金で国債の買い支えをすること。1)によって、破たん寸前のスペインの銀行は直接の資本注入が受けられる。2)によってイタリアは国債の暴落を回避することができる。確かに、破綻を回避できるように見える。

 しかし、ヨーロッパメディアの報道はまちまちだ。今回の結論を出すにあたって、1200億ユーロの成長協定を採択する直前に、イタリアのモンティ首相とスペインのラホイ首相が不賛成をちらつかせ、メルケル首相の反対を封じた。会議終了間際にゴネて、自国に有利な展開に持ち込んだこのやり方について、メディアによって受け止め方がまったく異なった。あるメディアは「土壇場の見事なゴール」と見、別のメディアは「弱みに付け込む狡猾な戦略」と評した。

 ギリシャでは、右派のアデスメフトス紙が「イタリア・スペイン同盟がメルケル首相に勝利」という見出しを立て、譲歩を勝ち取った両国を評価した。中道のトヴィマ紙も、「膠着したEUが前進した」として、モンティ首相の交渉手腕を賞賛。「ギリシャもモンティ首相のように国内でやるべきことをやった上で、緊縮緩和についてEUの合意を取り付けなければならない」と結んだ。ギリシャ政府が国内の構造改革に迅速に着手すること、その代わりに支援条件となる緊縮策に関し、条件の一部緩和を引き出すことの必要性を説いた。

 フランスも反緊縮路線を取る。オランド大統領は今回の交渉劇で、イタリア・スペインを擁護し、反メルケルの立場をとった。ラ・トリビューン紙はサミットと同時期に開催されたワールドカップにひっかけ「フランスの好パスでイタリアが得点」と報じた。フィガロ紙は「ヨーロッパの力関係を変えた会議」と評価する一方で、ドイツとの関係悪化を懸念した。ル・モンド紙は、「ドイツを屈服させた南ヨーロッパ」という見出しの下、メルケル首相の譲歩を歓迎した。ただし「我が国は債権国側なのだから、(ドイツと南ヨーロッパ諸国対立を深める役割ではなく)、橋渡しに努めるべき」という冷静な意見を述べている。

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