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ゴリラをめぐる、ぼくの幸せな瞬間

カリソケ研究所(ルワンダ共和国)【5】

2012年7月30日(月)

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 ぼくは結局、3日間連続で違う群れの「観光ゴリラ」を訪ねた。

 本当は研究ゴリラを訪ねたかったのだが、3週間の検疫期間(入国して、なにかの病気を発症しないこと)を経ないと許可が下りない。今の生活の中でそれを実現するのは無理なので、観光ゴリラ以外の選択肢はなかった。

自分の受け持つ観光客がどのグループに入るか、旅行会社の担当者が国立公園のガイドと相談して決めている

 さて、観光ゴリラとして公開されているのは8つの群れで、1日に8人までの参加が認められている。毎日、最大で64人の観光客が山に入る。観察時間は1時間と決まっている。

 3日間でぼくと同じ組になった人たちは、イギリスやオランダ、アメリカからの裕福な中高年のグループ、新婚旅行中のカップル、そして、雑誌の取材で来ている人たちなどだった。日本人もツアーとして毎年100人前後は訪れているらしい。ガイドの中には流暢に「こんにちは」「ありがとう」と話す人もいた。

 ゴリラトレッキングは本当に人気があり、わざわざ来たものの参加枠が埋まっており参加できない人は多い。それどころか、オーバーブッキングで参加出来ず、泣き崩れる人すらいるという。そんなときくらい柔軟にやればと思うのだが、ルワンダの観光当局は、頑なに1群れ8人までというポリシーを守っている。

 背景にあるのは、ダイアン・フォッシーから始まるゴリラ研究と保護の伝統だと聞いた。

「ダイアンのやり方は強引だという批判があったのは知っています。実際、彼女は悲劇的な最期を迎えてしまった。とても大きな喪失でした」と語ってくれたのは、首都キガリにあるRDB(ルワンダ開発評議会)の観光部門担当者。彼も「ダイアン」というファーストネームで親しみを込めて彼女を呼んだ。

「でも今も伝統は生きているんですよ。彼女が見守った群れを私達はずっと見ていますし、観光という形で、密猟よりももっと地域の人たちに利益をもたらす方法を提案してきました。ダイアンが生きていたら、きっと認めてくれるだろうと思うんです」

 ちなみにRDBは、ルワンダの「開発」を取り仕切る組織であり、ゴリラ観光もこの新興国にとっては「開発」の対象だ。それが実にストイックであることに驚きを覚えた。きっとそれくらいでないと、ダイアン(と、ぼくも呼ぼう)は納得しなかったかもしれないが。

 なお、ダイアンが生きていた当時と今ではかなり状況が違ってきている。

首都キガリでルワンダ開発評議会(RDB)のメンバーと

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「ゴリラをめぐる、ぼくの幸せな瞬間」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長