• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

東京のアパートを引き払い、南相馬で暮らして見えたこと

チェチェンと重なる被災地を悲劇の象徴にしたくない

  • 菊池 由希子

バックナンバー

2012年7月25日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 5月中旬、私はイスタンブールで開かれた北コーカサス国際会議に招かれていた。チェチェンの人権問題についての発表をしないといけないのだが、私は前日まで原稿が書けずにいた。なぜなら、私の心はこの一年、ずっと東北にあったからかもしれない。

 イスタンブールへ旅立つ前に、私は東京で借りていたアパートを引き払った。そして、帰国後は、南相馬市内の福島原発から20.5キロ地点で生活を始めた。旧警戒区域は歩いてすぐのところにあり、裏手には津波で被災した地域が広がっている。震災前まで見えなかった海が国道沿いからも見えるくらい、広大なエリアが被災していた。

南相馬市原町区津波被災地を国道6号線から撮影。震災前は国道から海は見えなかったが、今では見えるようになった

 一年前はまだ、がれきでいっぱいだったけれど、今ではすっかり片付いてしまった。日中は作業をしている重機の音がうるさいが、その音のせいで、私は以前、足しげく訪れていたチェチェンへと引き戻されたかのような気分を味わう。ちょうど私がチェチェンに通っていた頃は、街の復旧作業のために、至る所を工事していた。あまりにも工事の音がうるさいので住民は「爆撃より今はこの工事の音で疲れてしまう」とうんざりしていた。ここ、南相馬では被災エリアに人が住んでいるわけではないので、騒音は生活の邪魔にはならない。

 被災エリアには至る所に石が置かれている。その光景を見ると、なんとも言えない切ない気持ちになる。人が住んでいたことを感じさせる跡形がなくなっていても、ここに亡くなった方の家があったのだということを石が教えてくれる。中には、津波の塩害に負けるものかと、被災エリアに野菜を植えている人もいる。空間放射線量は毎時0.1~0.2マイクロシーベルトと、ここが原発から20キロほどしか離れていないことを考えると極めて低い(記事中の線量は、すべて私が持っているガンマ線線量計で測ったもの)。

南相馬市原町区津波被災地域。家があったところに石を積み上げ、亡くなった方を供養している

コメント6件コメント/レビュー

コメントで言及されている原発再稼働反対や放射能拡散反対を叫ぶ人達のコア組織には、我国の将来を憂う心、被災地に対する思いや同胞意識はありません。彼らにとって原発事故は日本を混乱させ、衰退させる材料の一つなのです。いわば格好の材料が手に入ったと小躍り状態でしょう。ここで問題なのは、そうした一握りの政治勢力の扇動に、物事の本質を客観的に検証せず、感情的な是非論で一つの方向に同調し、付和雷同してしまう人たちが多いことです。複雑な事象に対しても単純に善悪論的に一つの結論を出してしまい、物事を多面的、複層的に観察し判断するという訓練をしてこなかった日本の教育制度の問題点がここにも現れているのでしょう。ともあれ複眼で捉える筆者の考えに共感を覚えます。(2012/07/26)

「南相馬から世界を考える」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

コメントで言及されている原発再稼働反対や放射能拡散反対を叫ぶ人達のコア組織には、我国の将来を憂う心、被災地に対する思いや同胞意識はありません。彼らにとって原発事故は日本を混乱させ、衰退させる材料の一つなのです。いわば格好の材料が手に入ったと小躍り状態でしょう。ここで問題なのは、そうした一握りの政治勢力の扇動に、物事の本質を客観的に検証せず、感情的な是非論で一つの方向に同調し、付和雷同してしまう人たちが多いことです。複雑な事象に対しても単純に善悪論的に一つの結論を出してしまい、物事を多面的、複層的に観察し判断するという訓練をしてこなかった日本の教育制度の問題点がここにも現れているのでしょう。ともあれ複眼で捉える筆者の考えに共感を覚えます。(2012/07/26)

震災からの復興を願っていても小さい行動しかできない自分には深く考えさせられる内容でした。 「福島の悲劇を繰り返すな」「原発再稼働反対」とデモの先頭に立つ一方で、福島ではない宮城の震災がれきを他県が受入れて焼却実験しようとすると「放射能拡散反対」と叫び、被災者の気持ちを平気で踏みにじるグリーンなんとかという名の環境保護団体に入っている輩にも読んでもらいたい。(2012/07/26)

「東京の人たちは震災を忘れている」発言は、たしかに具体的な根拠はないかも知れませんが、私としては肌で感じます。というよりも、私自身があまり周囲とは話題にしたくない気持ちがあるからかもしれません。説明するのに疲れたというか、わかってはもらえそうにないと肌で感じるからです。私の両親は、ほんの半月ほど前に南相馬に戻りました。小高の自宅では暮らせないので、たまたま空いた借り上げ住宅に入居できたからです。でも、私としては不安で、とても帰ってほしくなかったです。周りは、帰れてよかったねと言いますが、とてもそうは思えません。昼間だけ小高の自宅に帰れても、水道も出ない状態ではまともに暮らせるものではなく、地震後に散乱したままの自宅の中を片付けるのが精一杯でしょう。それよりも、本当に帰ってもいいのか、原発の状況のほうが心配です。いっそのこと、浜通り全域を10年間立ち入り禁止にでもしてほしかった。小高区全体で別な場所でやり直そうというほうが、希望が持てました。小高神社につながる道端に捨てられないごみが積み上げられているのをみるのは、悲しいというより、とてもやりきれない気分です。こんな場所で野馬追いの出陣式や野馬駆けが行われても、それが希望につながるのでしょうか。勝手なことを書きましたが、両親を引き止めることもできなかった自分が一番歯がゆいです。(2012/07/25)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長