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「コワモテ店主」がブランドを作る?

ラーメン店とビンテージジーンズブランドの深い関係

2012年7月24日(火)

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 ラーメンが好きな方は多いと思う。今やカレーと並ぶ国民食だろう。筆者は麺類が全般的に好きだが、ラーメンだけはあまり食べない。ラーメン店に行くのが何となく億劫なのである。

 まず、並んでまで食べたくない。次に、値段がそれほど安くない。どちらかと言えば割高感がある。このあたりは同じ麺類でも、うどんと異なる部分である。そして、変な作法を強要される店もある。例えば、「食べている最中は私語厳禁」とか「スープを飲んだ後に水を飲むな」とか。どれもこれも余計なお世話だと感じる。そんなわけでラーメン店には滅多に足を運ばない。

わざわざ昔の技術を使うビンテージジーンズブランド

 話はいきなり飛ぶが、筆者はラーメン屋とビンテージジーンズブランドには大いに共通点があると感じている。

 ここで言うビンテージジーンズブランドとは、「リーバイス」や「リー」「ラングラー」など米国の伝統的なジーンズブランドの年代物をモデルにした商品の開発しているブランドである。1990年代前半に、エヴィスやドゥニーム、スデュディオ・ダ・ルチザン、シュガーケーンなどのブランドが国内に誕生した。その後、桃太郎ジーンズ、サムライジーンズなど続々と新しいブランドもデビューしている。これらのブランドは○○年代のリーバイスや○○年代のリーといったジーンズをできるだけ忠実に再現することを追求してきた。

 ジーンズという衣料は、開発された当時と現在では見た目はそれほど大きく変わっていない。だが、実は使われている材料は大きく改善されている。

 ジーンズの製造工程を大雑把に書くと、「綿糸の紡績→インディゴ染料による染色→織布→整理加工→縫製→洗い加工」となる。綿糸の紡績という工程では、ジーンズが開発された19世紀後半に比べると格段に太さが均一な糸を紡績できるようになっている。これは機械の進歩のおかげである。染色にしても同様だ。染料が改良されたことによって、当時より今の方が格段に堅牢度が高まっている(要するに色落ちしにくくなっている)。

 また織布も同じである。織機も当然、格段に改良されており、表面が滑らかな生地が織れるようになっている。某ビンテージブランドの社長によると「あの当時とは糸に塗ってある糊も違う」とのことである。

 しかし、「価値がある」と考えられている本当のビンテージジーンズは現在の技術とはまったく異なる環境で作られたものだ。

 太さが均一でなく、ところどころに節(ふし)のある糸が良い。また、染料は色落ちしやすく、生地も表面に凹凸感のある物が高く評価されている。そのため、価値あるビンテージジーンズを作るためには19世紀後半から20世紀半ばごろの製造設備が必要となってくる。せっかく改良に改良を重ねた機械を、何世代も前の状態にダウングレードさせなくてはならない。これは生産的にも資金的にも非効率的なものになる。

 よくビンテージモデルの謳い文句に「昔ながらの力織機で織り上げた」と書いてあるが、現在の織機は性能が良すぎてあんなにデコボコした表面感のデニムは織れない。だから、すでに現役を引退していた力織機を探し出して再び稼働させている場合が多い。ビンテージジーンズブランドは「わざわざ」昔の技術を使ってジーンズを作っているのだ。

 ついでに言うと、当時の力織機が残っているのが日本だけだという。諸外国は現役を退いた機械などオブジェにもならないのでとっくに廃棄している。そんなものをわざわざ保管するのは日本独特の文化だろう。中国で散逸した文物や風習が日本だけに残されている場合も多い。正倉院の宝物しかり、雅楽しかりである。

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「「コワモテ店主」がブランドを作る?」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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