素材としては使える可能性があるのに、工場や会社から定期的に排出されているもの。それを一般に「産業廃棄物」と言う。これまで焼却や埋め立てをするしかなかったこれらをデザインの力で経済的価値のある製品に生まれ変わらせたい――。そんなコンセプトで開催され、現在、作品を募集中なのが「ゴミコン」だ。
このコンテストの発想の原点や、目指すところについて、発起人の1人でありプロデューサーを務める青山雄二氏に話しを聞いた。
(聞き手は谷口徹也=日経エコロジー編集長)
ゴミコンってどんな活動なのですか。

青山 一言で言えば「必要なものを不要なもので作るコンテスト」です。前提として、作ったものは商品として販売し、きちんと利益を上げることを目指します。昨年に続き、今年が2回目になります。
ここで言う「不要なもの」とは、企業から定期的に排出されているものを指します。つまり、産業廃棄物とか、企業から出てくるゴミなどです。「定期的に一定量が排出されている」という条件もつけています。つまり、「今日は1トン出てくるけど、次は来年まで出てこない」といったものは対象としません。“原材料の安定供給”が保証されなければ、商品の原材料として不適当だと考えるからです。
私はNPO法人のニューズドプロジェクト(東京・千代田区)に所属しています。ニューズドプロジェクトはゴミコンで募っている作品と同様のコンセプトで、商品の企画、制作、販売をしています。これまでにシートベルトの素材で作った蝶ネクタイや、学校のいすの背板を利用したハンガー、ウエットスーツ生地の端切れで作ったポーチなどを商品化しました。
言ってみれば、この活動に外部の人も参加してもらおうというのがゴミコンですが、応募作品をニューズドプロジェクトの商品群に組み入れるわけではありません。あくまで別の活動として実施し、ニューズドプロジェクトは受賞作品の商品化をサポートします。
素材となる廃材は、企業などから募るのですか。
青山 むしろ逆ですね。企業側からオファーがあったものが大半です。
ニューズドプロジェクトの商品や活動内容をウェブサイトで知って、「ならば、うちの廃棄物も使ってもらえないか」と売り込まれたものが多い。あとは、販売先を探す見本市などに出展した時、興味を持ってもらうこともあります。「なぜ、廃材を使っているのか」という質問に始まり、説明を続けると「おもしろいね。うちの廃材はどうだろうか」となるケースもあります。これらをゴミコンでも利用しています。
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