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林業と山村を救うバイオマス・エネルギー

山形県にみるバイオマス事業化のヒント

2012年8月2日(木)

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 再生可能エネルギーの主役の一つはバイオマスである。バイオマスは、生物資源(バイオ)の量(マス)を表しており、動植物から生まれた再利用可能な資源を意味する。

 バイオマスには木質、廃棄物、下水汚泥、蓄糞、食品残渣など多くの種類がある。またエネルギーとしては、電気、熱、燃料という形態で利用できる。燃やす場合も、そのまま燃やす場合、ペレット、ガス、液体など利用しやすい燃料に形を代えたうえで燃やすなどのバリエーションがある。

 電力利用にかかわる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)では、建設廃材などのリサイクル系、一般廃棄物などの廃棄物系、製材工場残材などの一般木材、間伐材などの未利用木材、下水汚泥・畜糞などのメタンガス系の5種類に区分され、それぞれに買い取り条件が設定された。

 それぞれ重要なバイオマスであるが、まずは木質バイオマスについて解説する。国土の約7割強が森林であり、林業再生とも深く関わる。地方では、より身近な存在であり、生活や慣習にも深く根ざしている。

単純ではない木質バイオマス利用の優先度

 木質に絞っても、種類やエネルギーの利用形態、関連技術、事業目的などは様々である。木質バイオマスは、本来林業の主産物である「用材」あるいはそれを加工した建材などから出る副産物(バイプロダクツ)であり、未利用資源、廃棄物の有効活用が目的となる。リサイクルやバイオマス利用の基本は、燃焼させる「サーマルユース」よりも「マテリアルユース」を優先するとされる。サーマルでもエネルギー効率の高い「熱」を「発電」よりも優先すべき、との主張が多い。しかし、優先順位の高いとされるものの市場が小さいと、利用が進まずに結果として産廃となり、膨大な処理コストがかかることになる。

 「木材チップ」は、ボイラーの主要な燃料となるが、製紙の原燃料として既に大量に使用されており、「准用材」のような領域である。さらに、林業政策の観点から、需給バランスのためには用材として利用可能なものも、エネルギー利用した方が社会的には望ましいという考え方もあろう(あまり表に出てこないが)。二酸化炭素の「吸収源」機能維持のために間伐は継続される。戦後70年近く経過し、大量に植林された針葉樹は伐採期に入っている。膨大な量の森林資源が山から下りてくる。用材として使うことにこだわると用材価格が暴落し、林業・製材経営が破綻するというシナリオもあり得る。これは、過疎地の崩壊を加速させるかもしれない。

 それを考えると、大量のバイオマスを消費する発電は、国産材流通システムが整備されるまでの間は、救世主であるかもしれない。こうした現状を認識したうえで、議論されているようには見えない。そもそも、林業・製材に関しては、マスコミの報道は少なく、世間の関心も高いとは言えない。再生可能エネルギーが注目を集める中で、それこそ国民的な議論を喚起し、林業や里山を考える契機にするべきである。

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「林業と山村を救うバイオマス・エネルギー」の著者

山家 公雄

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長

日本政策投資銀行でエネルギー、環境などの融資・調査を担当。2009年からエネルギー戦略研究所で再生可能エネルギ-、スマートグリッドなどを研究。中立的なエネルギー・シンクタンクを心がけている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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