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「近いうちに」野田佳彦は小泉郵政解散の本質を見極められるのか

政権交代という「坂の上の雲」(中編)その1

  • 村井 哲也

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2012年8月16日(木)

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 混迷を続けた消費税政局は、「近いうちに」新しい局面へと移ることになった。野田佳彦と谷垣禎一の党首会談で、お盆休戦の間際に関連法案が成立したのだ。だが、そこで浮かび上がったのは、首相の解散権とは何か、国民に信を問うとは何か、そして政党政治とは何かだった。今回は、まだ記憶に新しい郵政総選挙へのプロセスを通じて、これらの問いを考えていく。

野田佳彦の権力闘争は生っちょろいのか

 「戦国時代の武将の生き方に比べれば、今の自民党の権力闘争は生っちょろい。命のやりとりじゃない」

 2005年8月、山梨県衆院2区。解散総選挙に打って出た小泉純一郎が、武田信玄ゆかりの地で行った刺客候補への応援演説だ。一部では、郵政民営化を断行する小泉の覚悟を示す逸話と報じられた。それでは、自民党の異端児・小泉の冷徹な権力観を見逃す。

 政界は、権力へのあくなき執念がなければ闘争を勝ち抜けない。その執念は、獲得した権力が強いほどに増す麻薬のようなものだ。だが、これも麻薬と同様、権力が強いほどにそれを失う恐怖は増す。政界に限らず、世の中で最も強いのは恐怖を覚えない者だ。

 恐怖を覚えなければ、権力を獲得する手段と目的を冷徹に区別して勝負所を見極められる。本来、権力の獲得は政策や信念を実現する手段に過ぎない。しょせん「命のやり取りじゃない」との小泉の言葉には、全く恐怖が感じられない。

 民主党への政権交代前、加藤紘一は自民党の現状をこう看破した。

 「反共と経済成長という結党時の歴史的使命は、ベルリンの壁崩壊で終えた。その後は、統治能力、責任能力を評価されて政権を続けてきたが、安倍、福田元首相の政権投げ出しで、限界にきている」

 冷戦終結とバブル崩壊で歴史的使命は終わった。自民党は、過剰な包括で政権維持を図る「共存共栄」が自己目的化する。だが、政策や信念なきゆえ、権力を失う恐怖は増し、冷徹な判断力とともに政権担当能力を失う。いよいよ解散総選挙の勝負所を控える野田佳彦が恐怖を覚えぬ首相なのかは分からぬが、小泉が権力闘争に強かったわけだ。

 小泉の政策や信念は、郵政民営化をシンボルとする構造改革で膨張する財政赤字と向き合うことにある。もはや不可避となった「選択と集中」のためだ。そこで喧伝された手段が、小選挙区制と橋本行革の遺産を冷徹に使い尽くす「官邸主導」の意思決定システムだった。

 ただし、構造改革は、後に市場原理の小さな政府と批判される。メディアは、彼を熱狂的に支持した国民は小泉劇場に踊らされ、格差社会を余儀なくされたと書き立てた。その反発が、2009年の政権交代につながったのだと。構造改革を選択した国民は、愚かだったのか。

 それでは、構造改革の別の側面を見逃す。田中派支配(「谷垣禎一の『全員野球』と田中神話の列島改造」を参照)の既得権益を打破するため不可避とされ、国民が過剰に期待を寄せた意思決定改革だ。政治改革から政権交代への16年は、この流れの中にある。もっとも、その流れの中で構造改革は分裂していくのだが。(図17)

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