• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

熱帯雨林で50メートルの木に登る

ジャングルの中のツリーハウスと秘密基地

2012年8月17日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 意外かもしれないが、私の一番好きな作家は小学校低学年から50歳になろうとする今まで、ずうっと佐藤さとる<注1>である。何年も読まずにいても心のどこかに彼の作品の景色や色合いが残っていて、もはや別格と言ってもいい。

 小人(こびと)が主人公だったり、物が意思を持ったりというファンタジーが中心の童話作家だ。大人の社会や子供ならではの残虐性をしっかりと描き込むリアリティのある童話が全盛の昨今、恥ずかしくなるくらいに純真な少年少女が登場する彼の作品は、もしかすると一般読者には受け入れられないかもしれない。しかし、楽しいハートウォーミングな物語、明るく明晰な文章、建築家ならではの観察眼と造形描写の巧みさは、今でも輝きを失っていないはずだ。

<注1>1928年神奈川県横須賀市に生まれる。関東学院工業専門学校建築家卒業。神戸淳吉・長崎源之助・いぬいとみこ氏らと同人誌[豆の木」発刊。1959年『だれも知らない小さな国』自費出版。同年講談社より出版。毎日出版文化賞・アンデルセン国内賞受賞。1967年『おばあさんのひこうき』で厚生大臣賞・野間児童文芸賞受賞(『だれも知らない小さな国』佐藤さとる略歴より)。代表作は『わんぱく天国』『大きな木がほしい』『赤んぼ大将』など多数。挿絵の村上勉とのコンビが最も有名かつ人気。

木の上に家を建てて住んだらどんなに素敵だろう

 大人が楽しめる作品はもちろん、低学年向けの作品にも「無生物」への愛情が感じられるのが彼の作品の大きな特徴なのだが、それが一番迫ってくるのが、秘密基地や、ツリーハウスを舞台にした作品だ。佐藤の出世作にして代表作『だれも知らない小さな国』<注2>は童話だけれど、『秘密基地小説』の一つの最も美しい形だと思う。また、土地開発から環境を守るということを象徴的に描いた現代の寓話として大いに再評価すべきだと思うのだ。

<注2>峠と林に囲まれた泉の湧き出る不思議な小山を愛した少年が、成人してその不思議な場所と再会する。今も不思議なその小山の「秘密」、小人族(コロボックル)の存在を知った主人公が、新道路建設の予定地にあたる小山を救おうと小人族と共に奮闘する。果たして小山と小人族の運命は?

 もう一つの代表作『大きな木がほしい』はツリーハウスに求める、子供の、いや恐らくすべての人の持つ「子供の心」の夢が具現化されている素晴らしい絵本である。高い大きな木の上に家を建てて住んだらどんなに素敵だろう?遠くの町が見えるだろうか?名も知らない野鳥が窓辺にやって来たり、リスが食卓の上のパンをかじったり。夏にはさわやかな風が吹き込んで昼寝にぴったり…。そんなことを夢想したことはないだろうか?そんな我々の夢がのびのびと描かれている大判の絵本である。

 よくよく考えてみると、熱帯ジャングルは私にとって究極の秘密基地であり、絶対に守るべき『だれも知らない小さな国』である。

コメント0

「生物資源ハンターがジャングルを行く」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長