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国民が望む「規制委員会」を実現する3つの方法

「脱原発依存」は法律で定めよ

2012年8月17日(金)

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 筆者は、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、内閣官房参与として2011年3月29日から9月2日まで、官邸において事故対策に取り組んだ。そこで、原発事故の想像を超えた深刻さと原子力行政の無力とも呼ぶべき現実を目の当たりにし、真の原発危機はこれから始まるとの思いを強くする。これから我が国がいかなる危機に直面するか、その危機に対して政府はどう処するべきか、この連載では田坂広志氏がインタビューに答える形で読者の疑問に答えていく。シリーズの5回目。

原子力規制委員会設置法も成立し、原子力規制委員の候補も発表され、いよいよ9月には、原子力規制委員会と、その事務局である原子力規制庁が設置されますが、田坂さんは、この一連の動きを、どう評価しているでしょうか?

田坂:まず、設置法の成立と委員候補の人選に尽力された細野大臣を始めとする関係者の方々の努力には、深く敬意を表したいと思います。そのことを述べたうえで、敢えて申し上げれば、この原子力規制委員会の設置は、多くの国民が求めている「徹底的な原子力規制改革」の入り口にすぎないということです。

原子力規制委員会の設置は、改革の単なる「入り口」

それは、どういうことでしょうか?

田坂:そもそも、なぜ、原子力規制委員会を設置するという改革を行ったのか。その究極の目的は、ただ一つです。

 「原子力規制への国民の信頼」を取り戻す。

 目的は、その一点です。

 なぜなら、従来の原子力規制組織である「原子力安全・保安院」は、国会事故調査委員会によって、「規制当局は電気事業者の『虜』となっていた」と指弾され、電力会社との「馴れ合いの関係」が批判されたように、国民が、「この規制組織は、電力会社や原子力産業の利益のためではなく、国民の生命と安全を守るために、原則を貫き、厳しい安全審査の判断をしてくれている」と信頼することが全くできないものだったからです。

 従って、新たに設置される原子力規制委員会も、その事務局である原子力規制庁も、この一点において、国民からの信頼を取り戻すことができるか、それが問われているわけです。

 もし、それが出来なければ、新たに法律を作り、原子力規制委員会を作っても、いずれ多くの国民から「結局、組織の看板と人間を入れ替えただけで、実態は何も変わっていない」と批判されることになってしまいます。

その意味で、今回の原子力規制委員会の委員長と委員の候補者について、田坂さんは、どう評価されているでしょうか? その原則を守ることのできる人選でしょうか?

田坂:候補者の方々の名前が発表されてから、マスメディアでは、早速、「原子力村の人間だ」「必要な専門性を持っていない」「官僚出身者ではないか」といった批判が、数多くなされていますが、候補者の方々にとっても、不本意な形になっているかと思います。こうした形になることを避けるために、国会事故調査委員会が提言したように、候補者選定のプロセスを国民に公開した形で、透明性をもって行うという方法もあったかと思います。

 ただ、私自身は、こうした「原子力規制の原則を貫く委員として、誰を選ぶことが適切か」ということだけでなく、実は、もう一つ大切なことがあると考えています。

 それは、「原子力規制委員会と原子力規制庁に、いかにして第三者的なチェックを行い、基本的なガイドラインを示すか」ということです。

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「元内閣官房参与・田坂広志が語る原発危機の真実」のバックナンバー

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「国民が望む「規制委員会」を実現する3つの方法」の著者

田坂 広志

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授

1974年東京大学卒業、81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。米シンクタンク客員研究員などを経て、2000年多摩大学大学院教授に就任。2011年3~9月、東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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