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ベトナム:「未熟」ゆえに工場進出

  • 日経ビジネスオンライン編集部

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2012年8月29日(水)

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 ベトナムの生産現場と言えば、若い女性従業員がズラリと並んだ生産ラインが思い浮かぶ。だが、ハノイにある三菱重工業の子会社、MHIエアロスペースベトナム(MHIVA)の工場は、そのイメージとは懸け離れている。

 治具に取りつけられているのは、断面が流線形の大型の金属部品。「フラップ」と呼ばれる、主翼に取りつけられ揚力を調節する機構部品で、ジェット機「ボーイング737」向けのものだ。

 アルミやチタンの金属板や骨組みからなるフラップの工程は、5000カ所以上にドリルで穴を開け、60種類の留め具を埋め込むというもの。すべて手作業である。素材の状態を察知する敏感さ、力加減を調節できる手先の器用さがなければ、人命に関わるこの部品のラインには立てない。

三菱重工業は高度な技能が必要な航空機部品工場をあえてベトナムに建設した

 三菱重工の航空機部門にとって、2009年にオープンしたベトナム工場はアジア初の生産拠点。ベトナムにとっても航空機産業の工場は初めてだ。

 部品の大半は日本からの輸入。労働集約型のラインではないので、人件費によるコスト削減は期待できない。

 航空機産業の集積がある中国でもなければ、素材など産業基盤があるタイでもない。あえて航空機産業“不毛の地”ベトナムを選んだのはなぜか。MHIVAの増田浩隆社長は「航空機工場は20~30年は残る。将来を見据え、苦労してでも拠点をゼロから立ち上げることを重要視した」と説明する。

 実は海外進出の背景には、日本での人手不足があった。愛知県などにある同社の工場では人手の確保に苦労している。特殊技能の習得には時間がかかるが、定着率が悪ければまたゼロから教えなければならない。

 円高で価格競争も厳しくなる中、海外への生産委託も試したが、品質管理に手間取り効率はよくならない。専門的な技能を次世代に継承するうえでも自前での工場が海外に必要。そこで白羽の矢を立てたのが、ベトナムだった。

 海外への生産移転はモノ作りの空洞化論議へと結びつけられ否定的に語られがちだ。ただMHIVAの場合、ベトナム拠点の立ち上げは日本の生産現場にもプラスに働く。

 日本の工場では米ボーイングの最新鋭機「ボーイング787」向け部品の生産も始まっている。ベトナム工場が軌道に乗れば、高度な生産技術が必要な787のような機種の生産により多くの経営資源を振り向けられる。

 そのためには、これまで門外不出だった特殊な技能を海外に伝承する必要があった。MHIVAのスタッフの現在の平均年齢は23.5歳で、日本の生産現場より格段に若い。採用第1、第2期生には日本語教育や日本の工場での実地研修も含め、トータルで1年以上の研修期間を費やした。

 生産立ち上げから2年半、想定した以上のペースで品質レベルは向上している。当初は完成したフラップを日本に送り、品質確認後にボーイングの工場に送っていたが、2010年10月に直接納入を開始。フラップに記された刻印は「Made in Japan assembled in Vietnam(日本製、ベトナム組み立て)」から「Made in Vietnam」に変わった。

労働集約型から技能伝承型へ

 モノ作りの拠点としてのベトナムはこれまで、「実直で器用な人材」そして「安さ」が最大の魅力とされていた。円高も手伝い、製造業のベトナム進出ブームは続いている。

 ただ、そのイメージは変えなければならない。インフレ率は前年同月比2割前後で推移しており、人件費は上昇の一途をたどる。今年10月の最低賃金の改定では、ハノイやホーチミンなどの大都市圏では月155万ドン(約5700円)から月200万ドン(約7400円)へ、一気に約3割も引き上げられた。

 日本企業の場合、ドン安円高によって人件費高騰の影響が軽減されている側面もあり、問題はそれほど深刻化していない。その半面、人手不足には悩まされている。上昇志向が強いベトナムの若い人材は、単純作業では満足せず、次の職場を求めてすぐに立ち去ってしまう。数千人の人海戦術で大量生産する工場では、人員確保に追われる工場も珍しくない。賃上げを求める違法ストライキにも頭を痛めている。

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