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「どっちがホント?」 異なる就職率が併存する理由と弊害

文科省と厚労省の共同調査に潜む3つの由々しき問題点

  • 上西 充子

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2012年8月31日(金)

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 「新卒ニート3万人」──。

 今週の火曜日(8月28日)。日本経済新聞はこうした見出しを掲げ、朝刊1面のトップで今年3月に大学を卒業した若者たちの進路状況を報じた。

 昨今の大学生の就職活動、俗に言うシューカツの厳しさに関心を持つ方々の中には、この記事を読んで首をかしげた人も少なくないだろう。記事中に、就職率として63.9%という数値が記されていたからだ。

 なぜこの数値が引っかかるのか。それは、同じ日経新聞が今年5月15日付け朝刊で、「大卒就職率93.6%に改善 今春卒業、支援策効果か」という記事をグラフ付きで掲載していたからである。

 後者の記事にある大卒就職率も、今年3月の大卒者についてのデータである。63.9%と93.6%。なぜ30ポイントも異なる数値が同じ大卒者の就職率として報道されたのだろうか?

ホントの大卒就職率は63.9%でも93.6%でもない?

 既にご存じの方も多いと思うが、異なる就職率が併存しているカラクリは次のようなものだ。63.9%と93.6%という数値はどちらも官庁の統計によるデータだが、まず調査の実施主体が異なる。前者は文部科学省の学校基本調査(注1)による就職率。対する後者は、文科省と厚生労働省が共同で行っている内定・就職状況に関する調査(以下、就職内定状況調査)(注2)による就職率である。

(注1)学校基本調査は、学校に関する基本的事項を調査し、学校教育行政上の基礎資料を得ることを目的とした調査で、統計法に基づく指定統計である。調査事項は学校数、在学者数、教職員数、学校施設、学校経費、卒業後の進路状況など。

(注2)この調査は文科省と厚労省が共同で大学4年の10月1日、12月1日、2月1日、卒業後の4月1日の4回にわたって実施している。卒業前に行った3回の調査は「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」、卒業後の4月1日の調査は「大学等卒業者の就職状況調査」と異なる名称を付けている。この記事では便宜的に、2つの調査名称を「就職内定状況調査」に一本化して略記することにする。

 そして、この2つの調査の結果に30ポイントもの開きがあるのは、就職率を算出する際の分母が異なっているからだ。学校基本調査における就職率の計算式の分母が卒業者数であるのに対して、就職内定状況調査の計算式は分母を就職希望者数としている。

 学校基本調査における今年3月の大学(学部)卒業生の状況(出所はこちら)を見ると、「就職者」63.9%、「大学院等への進学者」11.8%、「臨床研修医」1.6%、「専修学校・外国の学校等入学者」2.0%、「一時的な仕事に就いた者」3.5%、「左記以外の者」(報道発表資料では「進学も就職もしていない者」と表記)15.5%、「不詳・死亡の者」1.8%となっている。

 このように卒業者の中には大学院などへの進学者が1割以上含まれているので、「大卒者の約6割しか就職したくてもできないのか」と悲観的になるのは、誤った判断である。

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