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世界の流れを読めない経営はまず失敗する

第1回:消費増税だけが日本経済を弱体化するのではない

  • 中原 圭介

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2012年9月6日(木)

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 経営者の中には、「経営」と「経済」を切り離して考えている方々が多く見られます。世界一あるいは日本一の評価が得られる商品を持っていれば話は別ですが、それ以外のケースでは、会社が大きくなれば大きくなるほど、経営者は経済の大きな流れを認識しながら経営を進めていく必要があります。さもなければ、経営が失敗してしまう可能性が高まってしまうからです。

 ですから、この3回の連載では、経営者にとって世界経済や日本経済を見るための必要最低限の知識や考えをお知らせしていきたいと思います。まずは、消費増税が決まった日本経済について見ていきましょう。

 消費税増税が良いか悪いかは別にして、増税の景気に与える悪影響が過大に喧伝されています。「みんなの党」には強くそう主張する議員もいますが、1997年4月の消費税引き上げの結果、その後の景気が著しく悪くなったという見方は、まったく物事を正しく捉えることができていません。

消費増税は景気後退につながるのか

 当時の景気後退の要因は、消費税の増税よりも、同年7月のアジア通貨危機や11月の金融システム危機にあったと考えるのが自然だからです。その証左として、97年の家計消費は4-6月期に駆け込み需要の反動で減少しましたが、7-9月期には回復傾向が見られました。もちろん、家計消費だけでなく、鉱工業生産指数やその他の主な経済指標も、夏頃までは堅調に推移していました。5月には日経平均株価も2万円台の大台を回復していましたし、消費税増税の悪影響はほとんどなかったと考えられるのです。

 97年に始まる景気後退は、まず初めに、アジア通貨危機の影響を受けて、夏頃から日経平均株価が下落に転じ、次に金融システム危機の直後から、主要な経済指標が急速に悪化していったというのが真実です。邦銀はアジア諸国が危機に陥ることで、アジア向けの巨額の融資が焦げ付く恐れがありました。アジア通貨危機をきっかけに、銀行は国内での貸し渋りの姿勢に転じていきますが、その姿勢をさらに強める原因となったのが、拓銀・山一の破綻をきっかけに金融システム危機が起こったことでした。

 そのため、多くの中小企業の経営が悪化し、労働者の賃金も下落に転じるようになりました。まさに98年を境に日本経済は長期のデフレに陥ってしまいました。もはや、日本の長期低迷が金融システムの不安定化に起因することは疑う余地がありません。97年の増税が景気を後退させたという考えは、明らかに間違った認識なのです。

 もっとも、ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のポール・クルーグマン教授でさえ、「97年の増税が日本の景気を悪化させた」という間違った認識を示しているので、教授のこの分析を聞いた人々がみんな鵜呑みにしてしまうのは仕方がないのかもしれません。人間は権威に弱い生き物だからです。ましてや、自分のあたまで考える力が乏しい政治家の多くがこの誤った認識をもとに行動しているのを見ていると、日本の将来は本当に暗いと言わざるをえません。

 歴史をしっかりと時系列で整理して分析すると、事の本質は見えてくるものです。繰り返しますが、97年の増税は景気を悪化させることはありませんでした。

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