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航空マニア、悲鳴の顛末

下地島から全航空会社が撤退か

2012年9月6日(木)

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 沖縄県宮古島の対岸、下地島は珊瑚礁に囲まれた美しい島だ。人口約6000人の伊良部島が水路を隔てて隣接しているが、下地島にはほとんど住民はいない。

 この静かな離島の3分の1ほどの面積を、巨大滑走路と関連施設が占有。ほぼ1年間を通し、副操縦士を養成するための操縦訓練がこの地で行われている。

 B767やB737などの中型機が離陸を待つ中、轟音を立てて1機のANA機が着陸してきた。車輪を少しだけ滑走路に接地させたかと思えば、再びエンジン出力を上げて離陸してゆく。この「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる緊急時訓練の光景は、島の名物となっている。滑走路は国際空港にも利用できる3000mの長さがある。

 また、悪天候などで視覚が確保できない場合の安全に誘導する計器着陸装置(ILS)を両端に備えているのは数多ある空港でもそう多くはない。

 世界一美しい空港――。そう評される下地島空港の滑走路の端には、カメラマンが待ち構え、珊瑚礁の海と飛行機とのシンクロ風景を狙う。しかし、その絶景が撮れるチャンスも、今年度で最後になる可能性が高くなってきた。

JAL撤退で泥沼の係争

 経営再建中のJALは2010年5月から下地島空港での訓練を停止している。再建計画に伴う事業規模の見直しで、当面の間、副操縦士を養成しないことを決めたからだ。JALは2011年3月、沖縄県とANAとの3社で結んでいた空港使用に関わる覚書を、2012年3月末で正式解約すると通告している。だから今年、下地島を旋回する訓練機は、ANAだけになっている。

 「空港を使ってもらうよう協議を続けてきただけにJALの通告は非常に残念で、危惧を覚える」―――。空港を管理する沖縄県は憤りを隠せない。それもそのはず、多額の空港使用料が県に落ちず、計画していた地域振興策が滞ってしまうからだ。

 そもそも下地島空港はJALやANAなどの民間航空会社からの要望を受ける形で1979年から運用してきた経緯がある。近年はJALとANAの2社だけが訓練を行い、沖縄県に払う年間約6億円の空港使用料を両社で折半していた。しかし、JALの撤退で今年度はANAの約3億円しか見込めなくなった。

 雇用問題も深刻だ。空港には地元住民を中心に、110人以上の職員が働いている。しかし、JALの撤退に伴い、人員整理の必要性も出てきた。すでに早期退職者を募り、約20人が応募したという。

 そもそも、下地島空港はJALの経営破綻前までは、沖縄経済活性策の切り札だった。

 ジャンボ機の離発着が可能な下地島空港を国際空港として、海外からの集客を狙う計画だった。中には、島を一大カジノリゾートにしたり、F1のサーキットを誘致する壮大な計画が持ち上がったこともある。空港施設を核に、税収アップや雇用増を目論んでいた。

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「航空マニア、悲鳴の顛末」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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