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リショアリングでポストチャイナを探る

10年の生産革新がNEC工場にThinkPadを呼び込む

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2012年9月11日(火)

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 モノ作りの拠点を中国から日本に戻す動きが出始めた。これを「リショアリング」と呼ぶ。「岸(国内)に戻る」という意味だ。背景には、「世界の工場」と呼ばれてきた中国の異変がある。人件費の高騰や人手不足は、中国に生産を依存してきた企業にとって深刻な問題になっている。

 現在の円高環境でリショアリングを実現するのは容易ではない。日本の人件費は中国に比べれば、依然として高いからだ。日本の人件費が中国の5~6倍なら、日本では5~6倍の生産性を実現し、作業者を「少人数」に抑えなければならない。

 そのうえで1つのラインで「多品種」を生産し、しかも「短納期」で届ける。日本への製造のリショアリングを考えた時、「少人数、多品種、短納期(少・多・短)」は実現の絶対条件になる。

 この少・多・短に挑んだのが、山形県にあるNECパーソナルコンピュータ(NECPC)の米沢事業場である。同社は中国にも工場を持っていて、中国の実情をよく分かっている。だからこそ、中国を逐一ベンチマーキングしながら、10年以上に及ぶ日本での生産革新で自分たちの存在価値を高めてきた。

中国のレノボが評価し、米沢でThinkPadを生産

 NECグループの国内パソコン生産拠点である米沢事業場は、約30年のパソコン生産実績がある。恐らく世界でも例を見ない、パソコン生産の歴史的施設だ。

 この地で2012年秋から試験的に、レノボ・ジャパンのノートパソコン「ThinkPad」の生産が始まる。2012年7月にこのニュースが流れた時、耳を疑った人もいただろう。ThinkPadと言えば、かつてのIBM製品だ。それをNECが生産することになったのだから、パソコン業界の移り変わりには驚かされる。

米沢事業場でのパソコン生産の様子

 こんな出来事が実際に起きたのは、米沢事業場のモノ作りが、2011年7月にNECPCと提携した中国レノボ・グループに評価されたからにほかならない。現在中国生産しているパソコンの一部を日本に移すという、リショアリングの大英断が下されたのだ。

 パソコン生産の多くが中国や台湾に移っていった現実を考えれば、ThinkPadの米沢生産はNECが元IBM製品を作ること以上にインパクトが大きい。リショアリングの記念すべき第一歩と言えるだろう。

 中国企業であるレノボとの提携で、当初米沢事業場では「パソコン生産の中国移管が一層進むのではないか」と不安がる声が出ていた。しかし実際には全く逆で、中国から日本へのリショアリングが現実味を帯びていった。

 というのも提携の直後から、レノボの幹部が相次いで米沢事業場を訪問するようになったのだ。そのたびに彼らは、米沢事業場が10年以上にわたって続けてきた生産革新の成果を目の当たりにし、現場で「エクセレント!」と声を上げていた。評判が評判を呼び、レノボ側の“米沢詣で”が急増したため、工場内の様々な表記に英語を追加したほどである。

 レノボの幹部が米沢事業場で見たものは、人海戦術に頼る中国生産とはまるで違うものだった。まさに少・多・短のモノ作りである。

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