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「No More 映画泥棒!」FTAで過度に厳罰化?

レッスン6 知的財産権(2)(医薬品を除く)

2012年10月2日(火)

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 前回は知的財産権に関わる「毒素条項」のなかでも、医薬品に焦点を絞って議論しましたが、今回は医薬品を除いた知的財産権に関する問題について検討します。韓米FTAの中に、韓国を一方的に追い込む要素が盛り込まれているのでしょうか。

 「いる」とする人々の主張のなかで、大きな枠組みとして危険視されているものに「著作権侵害に対する非親告罪の導入によって、だれでも告訴ができるようになる」があります。また「著作権の保護期間が延びて一般利用者に負担がかかる」、「映画館で、ビデオカメラなどにより映画を撮影する、あるいは撮影を試みた場合刑事罰を受けるなど、過度な処罰が導入される」といったものもあります。

 そして「音」にも商標権が認められるようになり、「ウィンドウズの開始音も制限される」という主張まであります。なお各論としては、インターネットに関して、「検索が著作権侵害になる」、「著作物の無断複製・配布を許すサイトは閉鎖を強制される」という主張があります。

 では、さっそく検討していきます。

被害者の告訴がなくても

 第一の主張は、「非親告罪の導入によって、だれでも著作権の侵害について告訴ができるようになる」ですが、まずは非親告罪とは何か知る必要があります。

 法務省のホームページによれば、親告罪とは「裁判により犯人を処罰するためには,告訴が必要な犯罪」とされています。非親告罪とは親告罪とは異なり、被害者などからの告訴がなくても検察官が公訴を起こせる犯罪と言えます。韓米FTAの第18-10条第27項(f)では、「商業的規模」である商標権、意匠権、著作権侵害に対しては、告訴なくして捜査機関の職権で、公訴提起を可能にすることが定められています(*1)。よって韓国が、著作権侵害を非親告罪にしなければならない義務を負ったことは間違いなさそうです。

 しかしこれが「韓米FTAにより、韓国は著作権侵害についてまったく新しい義務を負った」と考えるのは早計です。著作権侵害の一部は、韓米FTAの発効以前から非親告罪であったからです。

 韓国の著作権法では、著作権侵害に対して罰則が設けられています。同法の第140条では、「この章(罰則を定めた第11章)の罪に対する公訴は告訴がなければならない」と定められています。つまり著作権法違反の罰則は親告罪です。しかし同条の但し書きで、「以下の各号の一つに該当する場合はそうでない」と定められており、「一部」の著作権侵害に対する罰則は非親告罪とされています。ここで「一部」と強調したのは、著作権侵害のなかで一定の条件を満たしたものだけが、非親告罪になるからです。

*1)韓米FTAホームページの資料(「18章-知的財産権(説明資料)」)により記述した。

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「TPPを議論するための正しい韓米FTA講座」のバックナンバー

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「「No More 映画泥棒!」FTAで過度に厳罰化?」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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