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「ゲリラ豪雨予報」は2、3年後に実現?

防災科学技術研究所観測・予測研究領域(3)

2012年9月21日(金)

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 ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲の観測について、日本の水準は他国と比べて進んでいる。雨粒の検出に適したXバンドのMPレーダでネットワークを組み、首都圏のゲリラ豪雨を研究するという発想自体が、斬新で国際学会でも驚かれるとか。

「私が発表する場所はアメリカとヨーロッパのレーダ気象学会なんですが、X-NETという、Xバンドのマルチパラメータレーダのネットワークを首都圏で組んでいるというのはインパクトが強いですね。人口の密集地域にこういう密なマルチパラメータレーダ網があるというのは、世界的にも珍しいんです。このネットワークは2006年ぐらいから始めてますので、世界で一番早く都市域を対象にした研究をしていると言えます。さらに、これに加えて、現業用に国交省が同じタイプのレーダを全国展開していますから、都市を対象とした観測では我が国は相当、先を行っています」

当初、MPレーダーは機動的な観測をおこなうために4トン車に搭載された。もちろん今でも現役。(写真:藤谷清美、以下同)

 北米、欧州も追従しており、アメリカではテキサス州、ヨーロッパではロンドン、パリ、ロッテルダム、ルーベンの4カ所に似たレーダを設置して、都市型災害を監視する仕組みが来年(2013年)あたりにはできるそうだ。

 それでは、研究用のものとして「最先端」であるX-NETを使って、真木さんたちの目標はどのあたりにあるのだろう。

真木 雅之(まき まさゆき)
1954年、愛媛県生まれ。理学博士。防災科学技術研究所観測・予測研究領域長。筑波大学連携大学院教授。1983年、北海道大学大学院理学研究科修士課程を修了。北海道大学理学部を経て、85年に国立防災科学研究所に入所して以来、気象レーダの開発および気象レーダによる自然災害の研究に携わる。2000年よりマルチパラメータレーダによる降雨量推定の研究を開始。現在は文部科学省科学技術振興調整費プロジェクト「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り」研究代表者を務め、首都圏Xバンドレーダネットワーク「X-NET」による豪雨・強風監視技術の構築に向けた研究プロジェクトを進めている。

「──遠くない未来に目指してるのが、10分前のゲリラ豪雨の予測です。そのためには、積乱雲の内部にある降水コアをいかに検出するかというのが大切です。『速く』、『早く』と、ふたつの、『はやく』が大切だと考えています。ひとつめの『速く』ですが、Xバンドや、もう少し波長が短いKuバンドのMPレーダを使って、出来るだけ速く空をスキャンします。数10分で終わってしまう現象ですから、5分間隔では時間的な分解能が十分ではないんです。それこそ2、3回、観測する間に現象が終わってしまうわけです。できるだけ速くスキャンして積乱雲の時間変化や降水コアを捉えたい。気象研究所のKuバンド(波長2センチ程度)やX-NETでは、セクタースキャンという特別な観測方法で、積乱雲の立体的な構造の変化を1分から2分間隔で捉えることが出来るようになりました」

 研究用の気象レーダーは、全天をすばやくスキャンする。一度、積乱雲を見つけたらそのまま、ずっと同じものを観測し続ければよいと素人としては考えるのだが、そもそも積乱雲が発達するような状況では、他の場所でも出来ているかも知れない。「速く」スキャンして、多くの雲を見た上で、それらが発達する積乱雲なのかどうかの兆候を見極めなければならない。これも今後の大事な課題だそうだ。

「──もう1つの『早く』、なんですが、雲ができていても雨粒が成長する前、さらには雲ができる前の段階から前兆現象をとらえたいということです。これらには、別の観察手段が必要です。雲自体の観測は、雨粒よりも小さな雲粒子を捉えることができる雲レーダを開発しています。雲粒は小さいので、それに見合った波長1センチほどのKaバンドを使います。そして、雲ができる前の晴天大気の観測に有効なのは、気流を見ることができる光の波長を使うドップラーライダーですね。さらに、大気中の水蒸気量を観測するためにGPSの情報を使えないだろうかということで研究をしています」

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「「ゲリラ豪雨予報」は2、3年後に実現?」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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