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ゲリラ豪雨や竜巻の被害を減らすには

防災科学技術研究所観測・予測研究領域(5)

2012年9月25日(火)

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 連載の冒頭で紹介した通り、真木さんが所属する防災科学技術研究所は、「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り」を推し進めるプロジェクトの中核機関だ。真木さん自身のテーマは、極端気象をもたらす積乱雲の発生やふるまいについてであり、とりわけ日本の都市部では重大な問題であるゲリラ豪雨には力を注いできた。また、観測手段として様々なレーダの開発にも携わってきた。

真木 雅之(まき まさゆき)
1954年、愛媛県生まれ。理学博士。防災科学技術研究所観測・予測研究領域長。筑波大学連携大学院教授。1983年、北海道大学大学院理学研究科修士課程を修了。北海道大学理学部を経て、85年に国立防災科学研究所に入所して以来、気象レーダの開発および気象レーダによる自然災害の研究に携わる。2000年よりマルチパラメータレーダによる降雨量推定の研究を開始。現在は文部科学省科学技術振興調整費プロジェクト「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り」研究代表者を務め、首都圏Xバンドレーダネットワーク「X-NET」による豪雨・強風監視技術の構築に向けた研究プロジェクトを進めている。
(写真:藤谷清美、以下同)

 では、プロジェクトの前提である「気候変動」、目標である「極端気象に強い都市」はどのように見据えられているのだろうか。

 真木さんに語っていただき、興味がつきないこのテーマの結びとしたい。

 最初に気候変動について。

 産業革命以降、人類が大気中に放出してきた、二酸化炭素などの温室効果ガスは、長期的な気候変動をもたらすとされる。地球温暖化は最たるものだが、ゲリラ豪雨などの極端気象も含まれる。では、実際、今の時点で増えているといえるのか。人間の記憶は直近のものが一番鮮明だから、たとえば今年の夏にゲリラ豪雨が多く報道されれば、すなわち「気候変動でゲリラ豪雨が多発」と感じられるわけだが、本当のところはもう少し慎重に判断しなければならない。

「たしかに統計上は増えているんですよ。はっきり分かるのが、気象庁の地上雨量計のデータです。アメダスが整備されてから30年以上のデータの蓄積があるんですが、最初の10年を基準に次の10年、さらに次の10年を比較すると、災害が起こりうる1時間あたり40ミリ以上の雨が、1.1倍、1.4倍になっています。人が恐怖を感じるような毎時80ミリ以上の雨は、1.2倍、1.6倍です。最近、10分間あたり雨量についても興味ある結果を気象研の研究者が報告しています。10分間あたり15mm以上の雨量の回数が1980年頃から増えてきているという結果です。この傾向は年平均気温の増加とよく合っているそうです」

 グラフを描けばはっきりと右上がりで、「増えている」といえそうだ。ただ、長期的に見てこれからも増えていくと断言するのは憚られるのも事実。

「アメダス以前のデータを今と同じには扱ってはいけないんですが、その前の10年間は逆に豪雨が多かったこともありまして、単純に一貫して増えているのかどうか分かりません。もう少し長い目で見ないと、気候変動の影響かどうかも議論できないだろうと思っています。それでも目の前に災害をもたらす気象はあるわけですから、防災・減災の研究は常に必要なんです」

 温室効果ガスによる気候変動は、ほぼ確からしいことが国際機関でも合意されている。ただ、現実に目の前の災害を相手にする真木さんのような気象研究者は、その災害と気候変動、さらには温室効果ガスとの因果関係を直接解明する立場にいるわけではない。これはまた別の系統の仕事だ。その結論がいかなるものであっても、目の前にある災害を防ぎたいという思いがまずあるのだと了解した。

 すると、研究が据える目標である、「極端気象に強い都市創り」が、すんなりとつながって見えてくる。

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「ゲリラ豪雨や竜巻の被害を減らすには」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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