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新聞の1面を飾った「新卒ニート3万人」ってホント?

メディアによる「調査結果」の意味づけにご用心

  • 上西 充子

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2012年9月14日(金)

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 今回は調査結果の「報じられ方」を検討したい。どういう「意味づけ」がなされたうえで調査結果が届けられるかによって、私たちのデータのとらえ方も左右されるからだ。素材は、文部科学省の「学校基本調査」による大学卒業生の進路状況を報じた2012年8月28日の新聞各紙の朝刊である。

 中でも日本経済新聞1面トップの見出し「新卒ニート3万人」を集中的に検討したいのだが、まずは肩慣らしとして安定雇用に「就かない」と「就けない」という表現の違いを見ておきたい。

安定雇用に「就かない」、「就けない」─表現で変わる「意味」

 今回の学校基本調査では、2012年3月の大学卒業者の約23%、12万8000人余りが「進学も就職もしていない者(15.5%)」「一時的な仕事に就いた者(3.5%)」「正規の職員等でない者(3.9%)」であることが明らかになった。中立的な表現を使えば、これらの者は安定雇用に「就いていない」者、である。

 毎日新聞1面トップの記事「大卒23%『安定職』なし」(ネット記事タイトルは「学校基本調査:大卒者の23% 安定した仕事に就けず」)は円グラフを示しながら、これらの者を「不安定な状態にある」という表現でくくっている。これも中立的な表現である。

 一方、東京新聞社会面の記事「大卒22% 非正規や進路未定」は同じく円グラフを示しながら、これらの者を「安定雇用に就かず」という表現でくくっている。「就かず」という表現には、「就こうと思えば就けたのに就かなかった」という、大学生側の意思を読み込んだニュアンスが感じられる。ただし東京新聞の記事の文中では「安定雇用に就いていない人」という表現が使われており、東京新聞が「就かず」という表現をどのぐらい意図的に用いているかは定かではない。

 それに対して産経新聞社会面の記事の論調は明確である。「大卒就職率63.9% 2年連続改善も23%安定雇用就かず 正社員の求人十分『まず飛び込んで』」という見出しからは、求人は十分にあるのに大学生側の問題で安定雇用に就かずにいるのだ、という見方が明確に示されている。

 記事の最後には、最初の希望と違っても、まずは飛び込めという大学キャリアセンター職員の声を紹介し、「と、学生側の意識改革の必要性を説いている。」と締めくくっている。問題なのは学生の意識や行動だ、という論調だ。

 日本経済新聞社会面の記事の「非正規労働に4万人 新卒調査『正社員になりたい』」の論調は、産経新聞とは対照的である。「正社員になりたい」という見出しからは、正社員就職を希望して活動しながら就職に至らない現状がある、という見方が示されている。

 記事中でも接客や営業の正社員を希望し約30社を受けたが内定を得られず契約社員として就職した女性の例、また、事務職の正社員を希望し約30社の面接を受けたが内定を得られず週に1度ハローワークに通っている女性の例が示されている。

コメント9件コメント/レビュー

データに意味づけするときは自分側を正当化し、他人側を批判する方向へ向かう事が多いと思う。企業側ならば若者を、若者側ならば企業を、部下は上司や会社、上司は部下を。自分が動かなくても良いように。変えるつもりもないし面倒だからね。では翻って自分は? やはり自分の都合の良いように解釈したくなる。さて、自分は若者に対して何ができるだろう? 貯金などせず散財するか? せめて応援くらいはできるかな。皆さん頑張って!(2012/09/14)

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データに意味づけするときは自分側を正当化し、他人側を批判する方向へ向かう事が多いと思う。企業側ならば若者を、若者側ならば企業を、部下は上司や会社、上司は部下を。自分が動かなくても良いように。変えるつもりもないし面倒だからね。では翻って自分は? やはり自分の都合の良いように解釈したくなる。さて、自分は若者に対して何ができるだろう? 貯金などせず散財するか? せめて応援くらいはできるかな。皆さん頑張って!(2012/09/14)

一昔前なら学力は劣っても高卒就職希望者は高校側も一所懸命手当てしてくれたものですが、大卒は個人で職探しをしなければならないので就職が決まらない人がいるのもある意味自然なのかも。大学全入時代でとても大卒とは思えないレベルの学生に大卒の給料を出して雇える余裕のある企業が多いとも思えないし。 企業だけが悪いあるいは学生だけが悪いと言うのではなく、大卒者の絶対数自体が増えていることや求人数等データ的な説明を明示しないと誤った解釈が蔓延することが懸念されます。(もう蔓延してる?)(2012/09/14)

マスコミ批判で溜飲を下げたところで問題解決にはならないでしょ。上西氏も典型的な「教育的指導」イデオロギーが垣間見れる。上西氏の指摘のように、現在の若者(この表現すら不適切である。私が直面したプレ就職氷河期世代はとうとう40歳に突入した。)が直面している状況は、構造的要因が大きい。構造的要因は構造を変えるか、別の構造を用意するかでしか解決しない。「ニート」の表現の多用で中高年が誤解を生む、それが問題解決の阻害要因だ的話は、極めて不十分。不特定多数の「誤解」など解けるわけもなく、このような教育的指導は問題のすり替えに終わってしまい意味を成さない。経済の本質は「生存競争」である。本当に若年者の側が「生存危機」を認識したなら、パラダイムシフトは起きる。既に兆候は出ている。しかし、中途半端な保護主義は若年層の「危機意識」を低下させ、「無気力」を生み出し、問題は深刻化するだけである。あと10年もすれば保護福祉行政は、財政面から頓挫するのは目に見えているので、そうなったら、心配せずとも若者たちが、中高年を蹴散らしますよ。歴史をきちんと勉強しましょう。ただし大混乱が待ってますけどね。小泉改革ぐらいで引っ張っておけばよかったんです。足の引っ張り合いをしたから、より過激な橋下市長の登場です。これを潰したら、次はほんとに暴力的「革命」になりますよ。フランス革命時のフイヤン派の愚を繰り返さないことです。情けない。(2012/09/14)

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