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使命を終えた「東京ガールズコレクション」

リアルクローズファッションイベントで服は売れない

2012年9月18日(火)

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 8月末~9月上旬というと神戸コレクションの時期である。その少し後には、東京ガールズコレクションがある。この時期は今秋冬物を、2、3月には春夏物を見せるというのがこれらのイベントの主旨である。今回は神戸コレクションを祖とするリアルクローズファッションイベントについて考えてみたい。

 元来、コレクションショーとはデザイナーズブランドやラグジュアリーブランドがバイヤーやマスコミ関係者、上得意顧客を招いて行うファッションショーを指していた。その際に披露するのは半年先の商品である。秋に開催するなら出し物は来春夏物だし、春に開催するなら出し物は半年先の秋冬物である。パリコレクションやミラノコレクション、ニューヨークコレクション、東京コレクションなどは今でもこの形式でファッションショーが行われている。

 筆者も何度か東京コレクションを見たことがあるのだが、1ブランドのステージが1時間以上続くと辛い。だいたい後半は睡魔に襲われて、意識が朦朧としてくる。ファッションショーの適正な時間は1ブランドあたり40分以内だと思う。

 これら「正統派」のファッションショーはかなり静かだ。「静か」と言い切ると少し語弊があり、BGMとして音楽は流れている。しかし、観客もステージ上のモデルも静寂である。客席からは話し声一つ聞こえてこないし、モデルは粛々とウォーキングしている。これが本来のコレクションショーである。若い人たちが見てもあまり面白い物ではないだろう。筆者も仕事でなければわざわざ見に行かない。ステージ上でタレントやタレント系モデルがマイクパフォーマンスをしたり、歌ったりするのに合わせて、観客が歓声を挙げる神戸コレクションや東京ガールズコレクションとはずいぶんと様子が違う。

ファッションショーのイベント化に成功

 今、店頭に並んでいる物を人気タレントが着てステージ上を闊歩する神戸コレクションや東京ガールズコレクションは、「正統派」のファッションショーに対して、「リアルクローズファッションイベント」と分類される。平たくいうならファッションを媒介にしたタレントたちの合同ライブと捉えても間違いではないだろう。

 2000年代半ば以降、類似イベントがいくつも立ちあがったが、これらのイベントの始祖は神戸コレクションである。初公演は2002年で、その3年後に同じ手法で東京ガールズコレクションが立ち上がった。そのため個人的には東京ガールズコレクションは神戸コレクションの分派・亜流であると認識している。

 神戸コレクションは年間2回の公演で合計3万人前後の観客を集める。しかもその観客は何千円かを支払って見に来る。これは従来型のコレクションショーでは考えられなかったことである。従来型のコレクションショーはそのブランドから招待されるためのハードルは極めて高いが、入場自体は無料である。「金を払っても良いから見せてほしい」と懇願しても見られるものではないからだ。

 神戸コレクションの功績は何か。タレントや歌手をステージ上でモデルに起用することで、従来型のコレクションショーにはないエンターテインメント性を与えて多数の有料観客を集めることに成功したことが挙げられるだろう。多数の観客を集めたことでファッションショーのイベント化に成功したのだ。

 後発の東京ガールズコレクションはさらに、携帯電話から今モデルが着用している服が購入できるというシステムを付け加えた。初回開催から10年以上がすでに経過しており、若い消費者層にとってはファッションショー=神戸コレクションや東京ガールズコレクションという図式が成立している。

 少し横道に逸れるが、小学生女児に人気の「プリキュア」シリーズというアニメ番組がある。昨年は「ハートキャッチプリキュア」が放送されており、その番組内でファッションショーを描写するシーンがあったのだが、これが見事に神戸コレクションか東京ガールズコレクションを模していた。今の小学生はファッションショーというと、神戸コレクションや東京コレクションだと認識しているということだろう。

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「使命を終えた「東京ガールズコレクション」」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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