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「利益なくして安全なし」

2011年春、JAL会長に就いて1年の稲盛和夫氏にインタビュー

2012年9月19日(水)

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 9月19日、日本航空(JAL)は東京証券取引所に再上場する。2010年1月の会社更生法の適用申請から、わずか2年半あまりで再上場までこぎ着けたJALはいかにして蘇ったのか。経営破綻から再生に至る道のりを『日経ビジネス』にこれまで掲載した記事で振り返る。

 会社更生法の適用を申請したJALは2010年2月、京セラ創業者の稲盛和夫氏を会長として迎え入れ、再建を託した。部門別採算制を柱とする「アメーバ経営」を「親方日の丸体質」と呼ばれたJALに浸透できるのか。会長就任から1年余りの2011年春のインタビューでは、JALの経営への思いを率直に語ってくれた。

無償で会長職を引き受けてから約1年。JAL倒産の原因は「幹部の傲慢さ」と断じる。
自らが考案した「アメーバ経営」は、果たして航空会社にも通用するのか。
日本に活力を与えるための、勇気あるリーダーを切望する。
(聞き手は 本誌編集長 山川 龍雄)

昨年2月に日本航空(JAL)会長に就任されてから1年余り。就任当時から現在までを振り返って、どういう心境でしょうか。

稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年から名誉会長を務める。84年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年から最高顧問。2010年1月に日本航空の会長として再建に取り組むよう要請され、2月1日から無給で務める。1984年には稲盛財団を設立し、国際賞「京都賞」を創設。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ。
(写真:陶山 勉、以下同)

稲盛:一昨年の12月頃から、会長に就任してほしいという要請が何度もありましたが、年も年ですし、全く未知の世界で任でなかろうと断っていました。しかし、JALがこのまま倒産すれば経済への影響が非常に大きい。日本の航空会社の象徴ですし、何万人もの雇用を守ることが経営者として重要と思い、引き受けようと決めました。友人、親戚、家族の誰一人として賛成する者はいませんでしたが。

 着任してはみたものの、今までの経験とは全く質が違い、どこから手をつけていいのか分からない。ただ気づいたのは、JALの幹部には経営者として資質のない人があまりにも多すぎるということです。これでは八百屋の経営もできない。私の発言でだいぶ社内が不快な思いをしたようですが、誇張ではなくそう思いました。

JAL再生に当たり、一番力を入れたのは何ですか。

稲盛:JALは「立派な会社」として、ちやほやされてきた長い歴史があるものですから、知らず知らずのうちに幹部が傲慢になってしまっていた。そのために顧客を失った。それが倒産の一番の原因だったと考えています。まずは社員の意識を変えるところから手をつけました。

 一番力を入れたのは、まず「この会社は潰れたんですよ」と自覚してもらうこと。JALの再生は、国土交通省などが支援をして、飛行機を飛ばし続けながら行うという異例の方法でした。運航も止めずに職場もそのまま残っているから、本当は職を失って路頭に迷わなければならないはずなのに、誰も潰れたという意識がない。とにかく倒産したという意識を社員全員に持たせ、なぜ潰れてしまったのかを考え、深く反省してもらう必要があった。

 意識改革を図るために、昨年の6月から役員ら50人以上に集まってもらい、共同勉強会を始めました。今までに1500人ほどに受講してもらった。その場で倒産したという現実を共有し始めたことで、皆さん真面目に勉強をしてくれました。昨夜も6時半から9時、100人以上が集まって勉強会をしていたんです。

 幹部の意識が変わるのと正比例して業績が上がってきました。その点は非常に良かったと思っています。

「御巣鷹山」がトラウマに

以前のJALはコスト意識、収益意識が低かったということですか。

稲盛:全くないと言っていいぐらいでした。御巣鷹山の事故以降、安全のためにすべての経営資源を集中させるという考え方。乗客の安全こそ我々の使命で、利益を出すことは邪道、という雰囲気があった。

 しかし、これでは本末転倒です。そもそも潰れかかっていてお金も使えなければ、安全は守れんでしょう。利益を出して余裕がなければ安全を担保できるわけがない。そう幹部に問うと、みんな目をパチクリさせている。「そう言われてみるとそうだ」と。安全を守ることと利益を追うことは、相いれないものだと思っていたわけです。

 このように未熟な理想論で経営をしてきたために、基本的な哲学、文化が欠落していた。彼らの意識を次々変えたことで、今では収益を上げることが罪悪とは誰も思っていませんが。

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「「利益なくして安全なし」」の著者

山川 龍雄

山川 龍雄(やまかわ・たつお)

日経ビジネス編集委員

「日経ビジネス」で自動車、商社業界などを担当後、2004年から4年間、ニューヨーク支局長。日経新聞出向を経て、東日本大震災直後から2014年3月まで同誌編集長。同年4月から現職。企業トップへの取材を通して、企業経営への提言を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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