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発火点は野田総理と胡錦濤国家主席の「立ち話」

中国政府の決意――最大規模の反日デモの背景

2012年9月19日(水)

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 中国における反日デモは、1972年の日中国交正常化以来、最大規模のものとなった。

 抗議の対象は、日本が尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化を閣議決定したことである。なぜここまで激しくなったかというと、今回は中国政府自身が尖閣諸島の領有権に関して「勝負に出た」からだ。その理由は、日中両国首脳の「立ち話」に求められる。

 2012年9月9日、ロシアのウラジオストックで開催されたAPECにおいて、中国の胡錦濤国家主席が野田総理と15分間ほど立ち話をする機会があった。このとき胡主席は、厳しい表情を崩さずに、次のように語っている。

 ここのところ、中日関係は釣魚島問題で厳しい局面を迎えている。釣魚島問題に関して、中国の立場は一貫しており、明確だ。日本がいかなる方法で釣魚島と買おうと、それは不法であり、(購入しても)無効である。中国は(日本が)島を購入することに断固反対する。中国政府の領土主権を守る立場は絶対に揺るがない。日本は事態の重大さを十分に認識し、まちがった決定を絶対にしないようにしなければならない。中国と同じように日中関係の発展を守るという大局に立たねばならない。

 日本が「尖閣は日本固有の領土だ」と確信しているのと同じ程度に、中国も「釣魚島は中国古来の領土だ」ということを、同じ程度に強く確信している。国民レベルで言うならば、中国の方がこの「確信」に対する熱意は熱い。

 しかし、話し合いが終わって、「胡主席と何を話したのか」という記者の問いに対して、野田首相はどう答えたのか。

中国の発展は、わが国や地域社会にはチャンスで、戦略的互恵関係を深化させていきたい。現下の日中関係については大局的観点から対応したいと申し上げた。

としか語ってない。つまり、胡主席が言ったところの最重要なキーワード「日本は事態の重大さを認識し」は、日本側には「認識」されなかったのである。

日本側の抑制的な判断に期待していた胡錦濤

 ところが中国では、当日のニュースで胡主席がどのような主張をしたかに関して広く報道している。それはすなわち、「日本が少しは事態の重大性に気づくだろう」という期待感をにじませたものだった。

 その証拠に、石原東京都知事が今年の4月、アメリカで「東京都による尖閣購入」を宣言して以来、中国で抗議の声は上がっていたものの、一方では都知事の尖閣上陸を日本政府が許可しなかったことが高く評価されていた。日中国交正常化40周年記念である今年、日本政府が実行した唯一の賢明な判断として、中国国内では繰り返し報道されていた。

 裏には「野田首相が抑制的な判断をするだろう」という期待が込められていた。

 その野田総理が、15分間とは言え、胡主席が時間を取って中国側の意思を伝えたというのに、翌日の10日には「尖閣国有化」閣議決定を宣言し、11日に実際に閣議決定してしまった。

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「発火点は野田総理と胡錦濤国家主席の「立ち話」」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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