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トイレの小さな張り紙で賃上げを訴えていた慎ましい国

ミャンマーに44年滞在するキーマンが語るチャイナ・プラス・ワン

  • 伊藤 暢人

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2012年9月21日(金)

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 日本の外交官としてミャンマー(当時はビルマ)に赴任し、その後外務省を辞して現地に残留。以降、44年に渡り、日本とミャンマーのパイプ役を務めてきた池谷修氏。このほど「日経ビジネスアジア会議」で、その経験を元に、チャイナ・プラス・ワンの一角として脚光を集めるミャンマーでの事業成功のポイントを語った。(後半部分の聞き手は伊藤暢人)

 ミャンマー社会との上手なつきあい方、あるいは、ミャンマーでの事業成功の秘訣についてお話しいたします。

 ミャンマーは、完全に仏教社会です。仏教とは一種のヒエラルキーの社会でございまして、仏法僧という発想があります。一番上が仏様、次にあるのが法、これは仏様の教えです。それを実行するのが僧という関係です。それから、両親と先生。これには絶対に従わないとならないことになっています。

 となると、外国人はどのヒエラルキーの中で特別扱いになっています。「外国人は怖いもの」「外国人は偉いもの」と考えており、外国人と対等に付き合うという発想はありません。

池谷 修 大丸興業ヤンゴン事務所代表/イケヤ・コーポレーション顧問/日本ミャンマー協会ミャンマー側顧問
(写真:都築 雅人、以下同)

 ある工場を運営されている方から聞かれたのですが、「たとえばインドネシアでは、窓ガラスを割ったり、極端な場合には火をつけたりということが起こります。喧嘩沙汰もあるし、向こうもそれを当然の権利だと思っています。ミャンマーではそういうことはないのですか」と尋ねられたことがあります。ミャンマーでは、少なくとも2、3年前まではありませんでした。

賃上げ要求はトイレの小さな張り紙で

 では賃金に関する要求はどう伝えてくるかというと「なんとなく」言ってくるのです。
 よくありましたのは、トイレの小さな張り紙です。ミャンマー語で「他の工場では10%上がったので、上げてくれませんか」と書いてある。

 要するに、外国人の経営者に対して面と向かって堂々と要求するという発想がないのです。これは、仏法僧や両親、先生に対して物事を要求したり、対等な立場で話したりという社会ではないからです。

 入社などに際して「給料はいくら欲しいのか」と聞くと「いくらでも結構です」と答える人が非常に多い。「ではよその半値でいいのか」と聞くと「それは困ります」と回答してきますが、ともかく、自分の要求は外に出しません。

 たとえば縫製工場でも、自分では目標を立てません。しかし私どもが「これが目標だ」と提示すれば、それに対して邁進します。中国ではこうではありません。経営者ではなく、管理者などが自主的に目標を作ります。実に対照的です。

 ミャンマーの人たちは、常にトップの意見に従うという習慣があります。これは、工場を経営する上では、半面、便利です。言われたことはやります。しかし半面、目標を自分で設定して取り組むという自主性には欠けるということです。

 ミャンマー人は、プライドが非常に高いです。まず、相手を信用することが大切です。「『この人はダメだ』という目で見られている」と感じた人間は、辞めろと言われなくても、自然と辞めていきます。

 逆に「この人はできる、信用できる」と思ったら、その人を徹底的に教育すればいいのです。それには必ず応えてくれます。できる人ほど教育することです。

 ただ気をつけなくてはならないのは、みんなの前で誰かを怒鳴りつけるようなことは、してはならないということです。たとえば、遅刻をした人間をみんなの前で叱るのではダメで、その人だけを呼んで罰しないとなりません。

コメント2件コメント/レビュー

 私の弟は、10年ほど前の学生時代に、タイにしばしば逗留していました。その弟の話(他の東南アジア通の人でも同じような話がありました)によると、タイ人が恐れている国・民族はミャンマーで、タイ人に言わせると「あいつらが本気を出すとヤバイ。タイは負ける。俺らと違って(笑)真面目で勤勉だし、戦争にも強い。しかし軍事政権がおかしな政策をしてくれているので、我々にとっては実にありがたいことである。我々はミャンマーの軍事政権を、ミャンマーが経済発展しないように影から支援しなければならない。(←この考え方はタイ人らしいなぁ…と思います)」 実際、東南アジアの歴史を見れば、タイ人がそう思うのもわかります。(2012/09/21)

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 私の弟は、10年ほど前の学生時代に、タイにしばしば逗留していました。その弟の話(他の東南アジア通の人でも同じような話がありました)によると、タイ人が恐れている国・民族はミャンマーで、タイ人に言わせると「あいつらが本気を出すとヤバイ。タイは負ける。俺らと違って(笑)真面目で勤勉だし、戦争にも強い。しかし軍事政権がおかしな政策をしてくれているので、我々にとっては実にありがたいことである。我々はミャンマーの軍事政権を、ミャンマーが経済発展しないように影から支援しなければならない。(←この考え方はタイ人らしいなぁ…と思います)」 実際、東南アジアの歴史を見れば、タイ人がそう思うのもわかります。(2012/09/21)

ミャンマーといえば「ビルマの竪琴」のイメージしか無いのでタイと同じく仏教国である事は分かるが、それ以上の知識は無かった。鎖国に近い状態が続くと、ブータンと同じで「金銭至上主義」とは全く無縁だったのですね!これから多くの国が投資して汚れて行くかと思うと、日本としてそうならない様に協力出来ないものでしょうか。(2012/09/21)

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