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JAL再生、「複雑な心境。公正な競争は担保されたのか」

2012年春、ライバルANAの伊東信一郎社長にインタビュー

2012年9月24日(月)

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 9月19日、日本航空(JAL)は東京証券取引所に再上場した。JALの復活に加え、LCC(格安航空会社)の国内線参入などもあり、航空業界の競争は一層激しくなることは間違いない。再上場したJALのライバルである全日本空輸は、この大競争時代にどう立ち向かうのか。2012年春の伊東信一郎社長へのインタビューから、同社の戦略を読み解く。

新型機B787を就航させ、LCC(格安航空会社)2社を立ち上げた全日本空輸。ライバルの日本航空が再上場を目指す今年、競争は一層熾烈さを増す。混沌とした航空業界を国際線の強化とLCCの力で勝ち抜く。(聞き手は 本誌編集長 山川 龍雄)

米ボーイングの新型機B787が就航しました。世界の航空会社で最初の発注社でしたが、生産の遅れで導入が当初計画から相当ずれ込みました。

伊東 信一郎 氏
1950年、宮崎県西都市生まれ。74年に九州大学経済学部を卒業後、全日本空輸に入社。99年に社長室事業計画部長、2004年に常務に就く。その後、専務や副社長と営業推進本部長を兼務し、2009年社長就任。アジアのLCC大手、エアアジアのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)と意気投合し、2011年8月にはLCC「エアアジア・ジャパン」を設立。趣味は釣りだが、社長就任後は忙しく、行く時間が取れないとこぼす。
(写真:古立 康三、以下同)

伊東:そうですね。(いろいろな苦労は)忘れちゃいない。ですが、できてしまえばいい飛行機です。お客様の反応はすごくいい。空間の広さなど、客室内の快適度は思った通りです。

 今も生産体制がまだ完璧ではなく、少しずつ遅れてはいます。しかし、20%向上するとうたっていた燃費性能は、大体その通りだと思います。

燃費や整備コストなど、実質的にはいくらぐらいのコスト削減効果を得られますか。

伊東:55機で100億円と見ています。2013年度末までに、半分の27機が入る予定ですので、その時点で50億円くらいの効果があると見込んでいます。

 ただ、確かに燃費効率もいいのですが、僕らの関心は別にあります。

 最新鋭のあの飛行機が持つ性能は、中型機なのに長い距離を飛べて、従来の大型機じゃちょっと手に余るような海外の路線を飛べること。それをどう使っていくかが課題ですね。

初就航ではB787のことを、競争環境を根本から変える「ゲームチェンジャー」だとおっしゃいました。

伊東:まず、米シアトルとサンノゼに就航させます。シアトルは需要を考えると、(B747やB777などの)大型機は飛ばしづらい。サンノゼはサンフランシスコのすぐ隣にあるんですが、サンフランシスコに2便目を追加するよりも、サンノゼのIT(情報技術)需要を直接取りにいける利点がある。従来は直行便を飛ばせなかった都市に入れるようになるんですね。これがゲームチェンジャーということです。

 我々は残念ながら、海外での知名度が低い。「どの国の飛行機?」って聞かれることもままあります。ですがB787導入を海外にもアピールできたことで、知名度が高まっているようです。外国人利用客の比率が少しずつ上がっていますから。

 国内市場はもちろん勝負しなきゃいかんのですが、海外で外国人にどれだけ利用してもらえるかも大きい。

 (加盟する航空連合の)「スターアライアンス」の中では米国のユナイテッド航空(UA)、コンチネンタル航空、ドイツのルフトハンザ航空とジョイントベンチャーをしています。すると彼らの予約システムに我々の便が並んで出る。UA便として(全日本空輸のコードナンバーである)NH運航と表示されるんです。全日空がスターアライアンスのキャリアだとようやく認知されてきました。

ジョイントベンチャーの効果は。

伊東:これは本当に大きい。太平洋を越えてアジアに流れる需要がものすごい勢いで増えました。例えば、UAのサンフランシスコ便で成田に着いて、そこから我々のアジア便に乗り継ぐような需要です。

 UAとコンチネンタル航空からの流し込みは2011年4~11月に前年同期比2.7倍に達しました。我々も彼らに乗客を流し込んでいて、それは同期間に前年同期比1.6倍になりました。太平洋を飛んでいる航空会社はいくつもありますが、アジアの往来ではこれが競争力につながっています。総需要が増えているわけではなく、スターアライアンスの競争力が上がったんですね。

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「JAL再生、「複雑な心境。公正な競争は担保されたのか」」の著者

山川 龍雄

山川 龍雄(やまかわ・たつお)

日経ビジネス編集委員

「日経ビジネス」で自動車、商社業界などを担当後、2004年から4年間、ニューヨーク支局長。日経新聞出向を経て、東日本大震災直後から2014年3月まで同誌編集長。同年4月から現職。企業トップへの取材を通して、企業経営への提言を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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