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原材料産地のブランド化、2つの方向性

本業にこだわりすぎると危険である

2012年9月25日(火)

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 最近、3カ所の国内繊維製造産地から製品化の相談を相次いで受けた。

 製品化には、自社もしくは産地合同でブランドを立ち上げることが最も効力のある処方箋である。その際、方向性は2つに分かれる。1つは、衣料品ブランドを立ち上げること。もう1つは、衣料品以外の、広い意味での小物・雑貨ブランドを立ち上げることである。

多くの繊維産地がブランド化を目指しているが

 アパレルの生地調達の場所や縫製工場がアジアに移転する中で、国内の繊維製造産地は衰退し、倒産や廃業が相次いでいる。そのため、残された国内製造業は新しい販路を開拓する必要性に迫られている。国内の繊維製造業は一部を除き、これまでアパレルや商社などの下請けとして機能してきた。このため、製造業のほとんどは今でも下請け体質を色濃く残している。

 下請けというのは、自社に決定権があまりないが、ラクな側面もある。原則的に製造数量は先方に決められており、在庫を抱える必要がない。例えば「○○という生地を20反織ってほしい」という注文が入れば、その20反は注文先が買い取ってくれるため、自社で在庫として抱える必要がない。もっとも、今では原則に反して受注分を引き取らないという商道徳に反する発注先も増えてはいるのだが。

 昨今の受注減によってこうした産地製造業は生き残るために、自社オリジナル製品を開発して、小売店に卸すことや直営店を構えて消費者へ直接販売することを考えるようになった。各都道府県で行われている「自立化支援事業」というのは、こうした先を援助しようというのが当初の目的である。

 けれども、下請け企業の「自立化」というのはなかなか成功しない。経験上、成功する確率はかなり低いと感じる。原因の1つには先ほど挙げた製造業の下請け体質が抜けきらないことである。

 具体例を挙げてみる。京都にある染工場があった。この染工場が自立化を目指して、グラフィックデザイナーと組んでバッグ類を作る計画が立ち上がった。グラフィックデザイナーが柄を書き、バッグ本体をデザインする。染工場がその柄をプリントし、バッグ本体を縫うというのが本来の形だった。しかし、ここに落とし穴があった。出来上がった商品の在庫をどちらが持つかという問題である。

 普通に考えるなら、個人事務所に近いスタイルで活動するグラフィックデザイナーが在庫を抱えるのはなかなか難しい。衰退したとはいえ、年商数億円規模の染工場がある程度は在庫を抱えるべきである。しかもそのバッグブランドの商標は染工場に属するのであるから当然である。
 だが、ここで予想外のことが起きる。染工場はなんと在庫を抱えることを拒否したのである。なぜなら、染工場は完全な下請け企業で今まで在庫を抱えたことがないからである。生地の在庫さえ抱えたことがないから、製品の在庫を自社で抱えることは想像を絶した行為だったという。このプロジェクトはこれで終わった。

 この手の自立化失敗の事例は全国に掃いて捨てるほどある。

 そんな中で、近年、製品化・自立化に成功した代表例として山形の佐藤繊維がある。これ以外にもレディースニットブランド「エヴァム・エヴァ」を展開する近藤ニットや、吉村ニットのミセスブランド「yoshi yoshi by pj(ヨシヨシバイピージェー)」、泉南の杉友ニットの展開するレディーストップスブランド「タップルーツ」などがある。

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「原材料産地のブランド化、2つの方向性」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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