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休耕田を「水田」として活用してこそ“油田”に変わる

バイオマスの主役、輸送用バイオ燃料(4)

2012年10月4日(木)

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 今回は、日本でバイオ燃料が普及するための方策について、私見を述べる。休耕田を利用して、農業基盤強化とエネルギー自給の両立に活路を求め、国産国消・地産地消を進め、それを基盤にバイオ技術開発に弾みをつけるのだ。

農業政策としてのバイオ燃料

 本シリーズの第1回第2回で諸外国のエタノール事業を紹介したが、例外なく相当規模の穀物由来エタノールが流通している。畜産大国の米国はトウモロコシ、砂糖大国のブラジルはサトウキビ、欧州は小麦・ビート由来が多い。畑作が主の欧州では、輪作の一環として菜の花などを植え、軽油代替燃料としても使用している。しかも歴史がある。これは、それぞれの国策と密接に関わっている。

 食糧の安定供給は最重要政策である。主要穀物は生産を過剰気味にして量の確保と低価格を実現する。これは「食糧政策」である。一方、その結果生産者の所得は低いか不安定化することになるが、価格支持や所得補償で補填し生産を継続してもらう(農村地域を維持してもらう)。これが「農業政策」である。

 この結果、どうしても主要穀物は余り気味になるが、先進国は、かつては途上国など向けの輸出で調整していた。これは、途上国などの国内生産を破壊する「補助金付き輸出」と批判されるようになり、撤廃することになった。そこで注目されたのが燃料化による調整である。バイオ燃料は、そもそもこうした基盤の上にある。国産エネルギーの確保、輸送用燃料のCO2対策は、時代の流れの中で付け加えられたものである。欧州は、本音はエネルギー・セキュリティにある。換言すると農業政策による基盤があったので、新たな政策への対応が可能になったと言える。

 農業関係者にとって余剰穀物の燃料化は悪い話ではない。市場が食糧関係だけだと、安定供給政策を背景に低い所得に甘んじるし、気象状況などによる変動も受ける。国としては、農業予算が増える。エネルギー市場が別途あると、2つの市況を見ながら柔軟に対応できる。補助金の代わりに市場メカニズムを使うことによって、米国政府は農業予算削減に成功した。米国のトウモロコシ農家は飼料、食用、エタノール、輸出などをみながら販売先を決める。組合を作ってエタノール生成事業にも乗り出している。日本で力を入れつつある「6次産業化」である。

 ブラジルのサトウキビ農家は砂糖とエタノールの市場を見て供給を判断する。砂糖工場とエタノール工場は同一工程上にあり、製造事業者もある程度分量を調整できる。フレックス車(FFV)は、最終用途における調整機能をもつ。前回、十勝の規格外小麦は、燃料用に回るとするだけで、数倍に値段が上がったことを紹介した。規格外と言っても、もともとそれだけの価値があったのである。

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「休耕田を「水田」として活用してこそ“油田”に変わる」の著者

山家 公雄

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長

日本政策投資銀行でエネルギー、環境などの融資・調査を担当。2009年からエネルギー戦略研究所で再生可能エネルギ-、スマートグリッドなどを研究。中立的なエネルギー・シンクタンクを心がけている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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