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愛国教育は諸刃の刃――中国共産党体制に潜む危うさ

「戸籍」という“安全装置”はもう機能しない

2012年10月9日(火)

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 9月に中国で展開された「反日デモ」は、すでに「デモ」の範疇を遥かに超え、犯罪的「暴動」の領域に達した。このことは、中国内部はもとより、全世界の一致する見解だろう。中国は領土問題に関して国際社会を味方に付けるべく、あらゆる機会を使って中国の正当性を各国で主張しているが、国際社会に印象づけた中国進出リスクを軽減することは、もはや困難だろう。

 次期政権に残された課題という視点から、暴動と化した反日デモの裏にある、中国共産党体制と中国社会の「危うさ」を分析してみたい。

 今回のデモは現象的に言えば、9月19日のこの連載(「発火点は野田総理と胡錦濤国家主席の『立ち話』」)で述べたとおり、中国政府が「デモのリスク」を覚悟してもなお抗議声明を発しなければならない状況から激化した。

 中国政府はいかなるデモであれ、ひとたび「デモ」という抗議運動が全国的に広まれば、それは必ず「反政府運動」に発展していくことを百も承知だ。

 だから2005年の大規模な反日デモのときも、実は中国政府自身は日本に対して、いかなる抗議声明も出していない。デモの原因は小泉元首相の靖国神社参拝と日本の国連安保理常任理事国入りへのオファーだった。「歴史」の反省をしていない日本のどこに、「安全保障」を論じる資格があるのか、という声がアメリカのサンフランシスコにいる華人華僑たちから起こり、それが中国大陸にも波及していったものだ。

 このとき中国政府は国連に対して明確な意思表示をしなかった。

 したがってデモ参加者たちの多くは「政府が立ち上がらないのなら、僕たちが立ち上がる!」と、北京にいた筆者に怒りをぶつけた。このデモでは、胡錦濤を「売国奴」呼ばわりし、「現代の李鴻章」と罵倒する者さえいた。

「毛沢東」か「毛主席」か

 李鴻章とは日清戦争の講和条約である下関条約に調印した当時の清王朝の全権大使。

 日清戦争とは1894年から1895年にかけて、当時の「大日本帝国」と当時の中国の清王朝との間で戦われた戦争。主に朝鮮半島にあった朝鮮王朝をめぐる戦いで、清王朝は惨敗し、日本に遼東半島、台湾、澎湖諸島などの諸島嶼の主権を永遠に日本に割与するという条約を結んだ。この条約を「中華民族に対する屈辱」として、中国は李鴻章を「中華民族の永遠なる売国奴」と位置付けている。

 その李鴻章に胡錦濤をたとえて、胡錦濤を罵倒した。
 それでも「毛沢東の肖像画」がデモの最初から出現したことは、未だかつてない。

 ところが、どうだろう。

 今回は「釣魚島(尖閣諸島に対する中国側の呼称)国有化に反対する」という横断幕と同じ程度に、毛沢東の肖像画が最初から目立った。しかも「毛主席よ、早く帰ってきてよ!」という言葉に見られるように、標語には「毛沢東」ではなく「毛主席」という表現が目立つ。

 つまりデモ参加者が「国家主席」として崇めているのは「胡錦濤国家主席」ではなく、かつての「毛沢東国家主席」だという意味である。

 デモ隊が「毛沢東」と書いているか、それとも「毛主席」と書いているか、この微妙な違いに注目しなければならない。

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「愛国教育は諸刃の刃――中国共産党体制に潜む危うさ」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長