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地方の小さなスーパーはなぜ価格競争から脱却できたのか

安売り競争とは無縁、札幌市のフーズバラエティすぎはら・その2

2012年10月11日(木)

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 「全く勉強していない」――。

 安売り策も、大手食品卸が手がけるチェーンへの加盟もうまくいかず、経営が行き詰っていたある日、フーズバラエティすぎはらの杉原俊明専務はある農業の専門家に怒られた。

 現代の消費者はどういう食材があって、どういうふうに食べると美味しいか、いろいろ調べている。安心や安全のため、食材がどこで生産され、どのように運ばれてきたかも一つひとつ調べている。それに応じて、生産者も食材をどのように生産すればもっと美味しくなるかを勉強している。しかし、中間流通の食品スーパーはただ売るだけで、気にするのは価格ばかり。こう指摘されたのだ。

 1999年、ある雑誌の取材を受け、杉原専務が改めてこのことを実感した。その取材では、子育て世代の母親向けに野菜の選び方を話さなければならなかった。だが、何もいい話ができない。それまで自分がいかに安く売るか、またいかにチェーン店としてうまくやっていくかしか考えていなかったことに気付かされた。

低価格競争からの脱却

 食品スーパーの現場で働くスタッフのほとんどはパート従業員である。どこにどのような商品が置いてあるかは知っているが、商品そのもののことはほとんど知らない。しかし青果店や鮮魚店、精肉店といった専門店は仕入れた商品を消費者に直接販売しているため、商品に関する様々な情報を客に話すことができる。消費者と生産者をつなぐ役割を果たすことができるのだ。

 ようやくそれに気付いた杉原専務は、青果店としてきちんと野菜に関する情報を提供できるよう勉強を始めた。2000年には野菜ソムリエの資格を取得。札幌商工会議所の北海道フードマイスターや調味料マイスターといった資格も取った。

 資格を取り、きちんとした知識を身に付けたことで、杉原専務は売っている商品の説明ができるようになった。来店客も資格を持つ杉原専務の話に耳をかたむけるようになった。しばらくすると、野菜ソムリエが経営している青果店としてフーズバラエティすぎはらの評判が広がり、来店客が増え始めた。

 それは安売り競争から脱却する大きな1歩となった。

 野菜ソムリエがセレクトした店として生産者の間でも話題になり、多くの農家が商品を自ら持ち込むようになった。野菜ソムリエ同士の間でも情報交換の輪が広がって様々な情報が入るようになり、来店客に提供する情報はますます豊富になった。

 農家を回り、作物を自分の目で見て、収穫方法を聞く。こうした得た情報も来店客に提供した。さらに、それまでは市場でしか商品を仕入れたことがなかったが、輸入食材をメーカーや代理店から直接仕入れるようにした。

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「地方の小さなスーパーはなぜ価格競争から脱却できたのか」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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