「スマートシティ  リアルビジネスの胎動」

藻類の超高速増殖で日本が産油国になる?

2つの藻をハイブリッド増殖し、燃料自給が視界に

  • 中西 清隆

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2012年10月15日(月)

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 燃料の常識を一変させるもしれない研究が進んでいる。微小藻類だ。旺盛な繁殖力を生かして大量に培養した藻類から油分を搾り出し、石油やガソリンを代替しようというのである。

 生物資源を原料とするバイオ燃料は、燃やしても大気中のCO2を増やさない再生可能エネルギーとして注目されてきた。

 欧州では2012年1月から国際線の航空機に温暖化ガスの排出削減を義務付ける規制がスタート。規制強化をにらみ、航空会社などはCO2削減策として、これまでバイオ燃料を混合したジェット燃料による試験飛行を繰り返している。航空業界では品質とコストで競争力のあるバイオ燃料への期待が高まっている。

彼谷邦光・筑波大学大学院生命環境科学研究科教授

 トウモロコシなどを原料にしたバイオ燃料はよく知られている。だが、作物の場合、耕作面積を急激に増やすことはできない。限られた作物の中から燃料利用が増えれば、穀物価格が高騰するなど食糧供給不安につながる。そこで、バイオ燃料研究の主流が非食物系植物に移る中、最有力候補に挙がってきたのが微細藻類だ。世界で最も燃料の生産性に優れる藻類を発見し、国内外の藻類研究をリードしている筑波大学の研究チームの中心メンバーの1人である彼谷邦光・筑波大学教授の研究室を訪ねた。

石油代替燃料の国産化

 藻類がバイオ燃料の原料として注目されるようになった理由は大量生産の可能性にある。筑波大学グループの試算によると、トウモロコシが1ヘクタール当たり年間に生産できる油分が172リットル、大豆が446リットルであるのに対して、藻類の場合、数万〜10万リットル以上の大量生産が見込めるという。

 仮にバイオ燃料で世界の石油需要をすべて置き替えるとしたら、トウモロコシの場合、現在の世界の耕作面積の14倍の耕地が必要になる。これに対して藻類は、培養に必要な土地の広さは世界の耕作面積の数%で済ませられるというのだ。必要な面積当たりの生産量は藻類が他の植物を圧倒する。藻類の場合、実際には耕作地を使う必要はないため、食料生産への影響もほとんどないと言っていい。

 大量のバイオ燃料を生産できる意味は大きい。これまで産油国に依存してきた燃料調達を自国生産に切り替えられる可能性があるためだ。

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