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猫の毛の手触りまで…竹内栖鳳の動物ワールド

魂込めて描きリアリズムを追求

2012年10月19日(金)

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 開催中の美術展やアートイベントを巡りながら、アートの深部に迫る「アートいろは坂」。今回のテーマは、魅力的な猫を描いたことで知られる日本画家、竹内栖鳳。描いた動物は、ライオンやアヒルからカエルまで実に多彩だった。希代の動物好きの画家の心を覗き見る。

 首をすぼめるように体を丸めて振り返り、こちらを見つめる一匹の猫。戦前日本画壇の巨匠、竹内栖鳳(1864~1942年)の代表作「班猫(はんびょう)」だ。東京・恵比寿の山種美術館で開催中の特別展「没後70年 竹内栖鳳―京都画壇の画家たち」の会場を訪ねると、最初にこの作品に出迎えられる。

竹内栖鳳「班猫」
1924(大正13)年、絹本彩色、山種美術館蔵、重要文化財
作品名は、画家自身の箱書きによるとのこと

 惹かれる要因の第一は、美しく輝く碧色の目にありそうだ。下から見上げたような視線には、人格が宿っているかのよう。言葉はしゃべれないけれど、何かを言いたい。そんな様子が伝わってくる。地面ともただの背景ともつかない薄茶色のグラデーション。これも、おぼろげに描くことによって、猫の存在感を強めている。

沼津で見つけたモデルの猫を京都に連れ帰る

 細部で際立っているのは、何といっても毛の描写だろう。「毛描き」という表現が似つかわしい。実に細密な描きぶりだ。手触りを想像させる質感を再現した毛の描写には、知らず知らずのうちに見入ってしまう。しかも、描かれた毛には秩序があり、自然な生え具合いを保ちながらも渦巻きのようにあしらった造形が目を引きつける。それゆえ、毛の味わいを楽しんでるうちにも、こちらの視線は絵の中心へと自然にいざなわれる。時間をかけてじっくりと作品と向き合いたくなるゆえんだろう。

 この猫には、いかにも栖鳳らしい逸話がある。

 ある秋の日の午後、沼津を旅していた栖鳳は、ある「八百屋」の前でこの猫を見つけて、あまりに気に入ってしまう。その時言ったというセリフが、この画家ならではの内容だった。

 「ははア…。徽宗皇帝の猫がいるぞ」(「文藝春秋」掲載の「涼台小話」より。1933年発行)。

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「猫の毛の手触りまで…竹内栖鳳の動物ワールド」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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