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垂直統合モデルの採用でメガEMS企業を一蹴

アップル受注のカギは部品加工の技術力

  • 稲垣 公夫

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2012年10月18日(木)

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 前回は、EMS産業の生い立ちについて解説した。実は筆者は、北米系EMS企業が隆盛を極めていた2002年から9年間近く、北米系EMS企業の日本法人に勤務していた。転職してしばらくの間、社内の会議でフォックスコンの話題が出ることはなかった。競争相手として全くマークされていなかったためだ。

 しかし2005年頃になると、社内の会議でフォックスコンが話題になり始めた。その理由は同社がシスコやノキアといった優良顧客のローエンドの事業を受注しはじめたからだ。こうしたローエンドの製造委託は利益率が極めて低いので、北米系メガEMS企業としては手を出したくない事業だった。しかし社内の会議では「ローエンドを取られて、そこから上に攻められるとまずい。うちの会社もかつてはローエンドから入って、その後ハイエンドのビジネスを勝ち取った。フォックスコンに同じ方法で攻められるのではないか」といった意見が出ていたのを覚えている。そして、実際に事態はその通りに推移した。2010年頃になると、フォックスコンに携帯電話や液晶テレビ、プリンターなどの領域でどんどん仕事を奪われていくことになる。

部品で利益を稼いで組み立てまで根こそぎ奪う

 そもそもフォックスコンは他のEMS企業とは全く異なる軌跡をたどってきた。北米のEMS企業がすべてプリント基板組み立て業者として出発したのに対して、フォックスコンは部品メーカーとして出発した。まずアメリカの電子メーカー向けの樹脂部品成形メーカーとして出発した同社は、コネクターや筐体用金属部品などで事業を拡大し、その後にプリント基板組み立てに進出した。EMS業界では昔から社内で部品を製造すべきか(垂直統合モデル)、それとも社外から部品を買うべきか(水平分業モデル)で大きな論争があった。一部の北米系EMS企業はプリント基板の部品の内製化に投資した時期もあったが、結局うまくいかずに水平分業モデルが業界の標準になった。ところがフォックスコンは、部品からEMSへと攻めていくという異端の戦略を採用したのだ。

 フォックスコンの戦略は、詳しくは次の通りだ。まず自社が製造する部品(コネクター、バックボードや筐体などの専用部品)を欧米の電子メーカーの設計部門に採用してもらう。次に製品組み立て全体の委託製造を受注しようと他のEMS企業と競うのだが、フォックスコンはすでに部品販売において利益を出せる見積もりをしているので、組み立ての部分はわずかな利益でも見積もりが出せる。他のEMS企業はフォックスコンから部品を買わざるを得ないので、見積もりがフォックスコンより高くなってしまい失注してしまう。こうしてフォックスコンは、カスタム部品を「トロイの木馬」のように利用して製品組み立て全体の受注まで獲得していった。製品組み立て全体の仕事が獲得できれば、部品の購入量も増えていき、顧客は部品が安く買えるようになる。当然、価格競争力はさらに高まる。こうした戦略で2005年頃からフォックスコンは、ノキア、シスコ、HPなど欧米企業の受託生産事業を、北米系EMS企業から奪っていったのだ。

 このようにフォックスコンが急成長した最初のきっかけは、部品で儲けて組み立てをダンピング受注するという戦略だった。もう一つ同社が成功した理由は、徹底的に顧客を選別したことだ。通常EMS企業は下請けなので、顧客がEMSを選ぶことがあってもEMSが顧客を選ぶことはない。しかしフォックスコンは郭台銘(テリー・ゴウ)会長の強い信念から巨大な売り上げが見込める顧客からの仕事しか受注しようとしないし、逆に魅力的な事業なら最初の売上は小さくても死に物狂いで受注しようとするという姿勢が非常に強い。このような姿勢を貫くため、携帯電話ならノキア、データ通信ならシスコ、プリンターやパソコンはHP、ゲーム機はソニーと任天堂といった、それぞれの業界のナンバーワンかナンバーツー企業がメインの取引先となっている。

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