「おはよう!」「おはようございます!」
こんな元気な声が響き渡る病院が鹿児島県にある。しかも、院長自らが患者を見つけると、率先してあいさつをする。それが、医療法人愛誠会が経営する昭南病院である。
昭南病院は大隅半島の付け根に位置する鹿児島県曽於市にある。同市は2005年7月に曽於郡末吉町、財部町、大隅町が合併して誕生した。宮崎県都城市などと隣接しており、都城へはバスで約20分の距離にある。人口4万人弱の典型的な日本の地方都市だ。
人口減の影響を受け、高齢化も著しい地方都市において、病院の経営はどこも厳しくなっている。昭南病院もかつては赤字経営が続き、スタッフの確保さえままならない状況が長く続いた。病院として経営を続けることができない、厳しい状況に追い込まれたこともあった。
そのような病院がなぜ赤字経営から脱し、あいさつが響き渡る病院に生まれ変わったのだろうか。

高齢化率35%、昭南病院は日本の未来
「借金してスタッフにボーナスを支払っていました」
いつも大きな声であいさつをしている朝戸幹雄院長は1人の医師として着任したばかりの頃をこう振り返る。
昭南病院は戦後間もない1946年9月に開設した。現在の病床数は154で、医師の数は12人、非常勤医師を含めると20人になる。スタッフの総数は約250人で、平日の外来患者数は平均で約300人である。規模はそれほど大きくないが、地域の中核病院の1つとなっている。
診療科は内科を中心に外科、放射線科、神経内科、泌尿器科、循環器科等を持つ。加えて、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター、介護老人保健施設などの介護部門も持っている。
曽於市の人口は1970年頃には5万人を超えていた。しかし、徐々に減り続け、現在は4万人を割り込むところまできている。65歳以上の人口を示す高齢化率は約35%で、日本全国の高齢化率の平均である23%を大きく超える水準にある。昭南病院の姿は約20年後の日本の姿でもある。
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