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歌川国芳の浮世絵はなぜ「破天荒」なのか?

芳年、暁斎に引き継がれた“DNA”

2012年11月22日(木)

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 開催中の美術展やアートイベントを巡りながら、アートの深部に迫る「アートいろは坂」。今回のテーマは、激動の幕末に生き、破天荒な作品の数々を残した浮世絵師、歌川国芳。その“DNA”は明治になっても途絶えることはなかった。横浜美術館で開催中の「はじまりは国芳」展を訪ね、「破天荒」の背景を探った。

 すだれをぐいと押し下げて部屋の中の人間たちを上から覗く巨大なガイコツ――。スリラー映画のような現実離れしたシーンを横長の画面に収めたのは、幕末の浮世絵師、歌川国芳(1879~1961年)の「相馬の古内裏」という作品だ。

 天皇の居所を意味する「内裏」という言葉がタイトルにあるのは、平安時代に反乱を起こして関東で「新皇」を名乗った後に討たれた平将門に由来する。将門の娘の滝夜叉姫(たきやしゃひめ)がガイコツの化け物を操り、大宅太郎光圀という武者がそのガイコツと戦おうとしている。「スペクタクル」という言葉で解説したくなるような構図。映画もテレビもなかった時代に、この浮世絵版画を手にした人々はわくわくしながら鑑賞していたに違いない。

歌川国芳(一勇斎)「相馬の古内裏」
(弘化2~3年頃[1845~46年頃]、大判三枚続、多色木版 ※前期のみの展示)

迫力あるワイド版の浮世絵版画

 横浜美術館で開催されている「はじまりは国芳」展の会場を訪れてこの作品の前に立ち、映画やCGを知り尽くした現代の目で臨んでも、迫力を感じる人は多いかもしれない。この作品は大判三枚続、すなわち、江戸庶民が普通に楽しんでいた浮世絵版画の3倍の大きさを持つワイド版だ。

 現代でもパノラマ写真は視野の広がりを呼び、新鮮な感覚で人々の目を引き付ける。国芳の「三枚続」は、ただ大きさで迫るだけではなく、人間の視覚の特性をも考慮していたのだろう。目の当たりにすると、何とダイナミックな表現なのだろうと感じる。後期展示で出てくる同じく三枚続の「宮本武蔵の鯨退治」も楽しみだ。

歌川国芳(一勇斎)「宮本武蔵の鯨退治」
(弘化4年頃[1847年頃]、大判三枚続、多色木版 ※後期のみの展示)

 横幅3.7メートルの「一ツ家」には三枚続とは違う迫力がある。木の板に描かれていることが生々しい強烈さを呼び起こす。「一ツ家の鬼婆」と呼ばれる説話に基づいて描かれた老婆が恐怖映画顔負けの形相で迫る。国芳のこれらの作品の画風を一言で表すなら、「破天荒」という言葉がふさわしい。

歌川国芳(一勇斎)「一ツ家」
(安政2年[1855年]、228.2×372cm、顔料・板・額、金龍山浅草寺蔵)

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「歌川国芳の浮世絵はなぜ「破天荒」なのか?」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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