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アジアが世界の工場に、欧州は世界の博物館に

低下する欧州経済の比重

2012年12月5日(水)

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 IMFは、欧州経済について悲観的な見方を強めている。そのことは、IMFが2012年10月に発表した「世界経済見通し(WEO)」にはっきりと表れている。IMFは、欧州の2013年以降の成長が、アジアや米国に比べて大幅に鈍化すると予想している。筆者は1990年以来ドイツで働き、ギリシャやイタリア、スペインなど多くの欧州諸国を取材で訪れた。イタリア、スペイン、ギリシャには文化的な遺産が多く、物見遊山するには大変面白い。だがこれらの国々に滞在するたびに、「人々は、現在の価値を創造することよりも、過去の遺産で食べている」と強く感じる。

 一方、中国などアジア諸国を訪れて現地の人々と働くと、そのダイナミズムに圧倒される。そして「将来はアジアが世界の工場になり、欧州は世界の博物館になる」という警句を思い出す。WEOが示す数字は、この警句に現実性を与えている。

「低迷するユーロ圏、ダイナミックに成長するアジア」
ユーロ圏とアジア新興国27ヶ国のGDP成長率比較
(資料・IMF WEO 2012年10月発表)

 IMFはWEOの中で、ユーロ圏、G7諸国などの地域経済グループのGDPが2017年までにどのように変化するかを予測している。IMFは中国、インド、ベトナムなど27カ国からなる新興アジア諸国の2017年の成長率を7.7%と予想しているのに対し、ユーロ圏の成長率はわずか1.7%にとどめた。アジアの成長率のおよそ5分の1のペースである。

「アジアに大幅に劣るユーロ圏の伸び率」
国民1人当たりのGDP
(資料・IMF WEO 2012年10月発表)単位=購買力平価(PPP)

 欧州の成長率の鈍化をさらにくっきりと浮き彫りにするのが、購買力平価で計算した国民1人当たりGDP(国内総生産)の比較である。IMFは新興アジア諸国の国民1人当たりのGDPが、2010年から2017年までに72.7%増加すると予測している。これに対して、ユーロ圏の増加率は19%にとどまる。ユーロ圏の国民1人当たりGDPは、2010年には、新興アジア諸国の6.4倍だった。しかし、その差は2017年には4.4倍に縮まる。

 個人資産の総額を見ると、欧州がアジアに急追されていることをさらに実感する。クレディ・スイスによると、アジア・太平洋地域の国々の個人資産の総額(金融資産と不動産から負債を差し引いた額、ドルに換算)は、2012年の中頃に欧州を追い抜いた(クレディ・スイスは中国の個人資産の総額が2017年には38兆ドルに達し、日本を追い越すとも予測している)。

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「アジアが世界の工場に、欧州は世界の博物館に」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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