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旅館には下足番も布団敷きもいらない

8店舗を効率経営する神奈川・箱根の一の湯・その2

2012年12月6日(木)

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 経営難からマネジメントの改革に乗り出した神奈川・箱根の一の湯。まず人時生産性を正確に計ることからスタートし、総労働時間の短縮に乗り出した。

 1994年、一の湯は宿泊料金を1万円未満に引き下げた。箱根の一般的な旅館が1泊で数万円の料金だった時代である。より多くの人に気楽に宿泊してもらうための施策だった。これにより、ターゲットとなる顧客も、団体から家族や仲間といった少人数のグループに変わった。

 低料金・高稼働の旅館として経営していくためには様々な改革が必要になってくる。人員削減で労働時間を減らすことも可能ではあるが、現実にはなかなか難しい。現場の従業員たちは、必要がない仕事はないと考えているからだ。

 そこで、一の湯が取り組み始めたのは、労働時間を人員数で管理するのではなく、あくまで総労働時間によって現場の作業を細かく管理することだった。個々の作業の効率化や省力化を進め、10分、15分といった単位で、労働時間を少しでも短縮する努力を始めた。1人当たりでは少ない時間であっても、全従業員の分を合計すれば、それは大きな時間となる。

 ただ、こうした個々の作業に注目したやり方では、いずれ時間短縮の限界が出てくる。最初は大きな効果が得られるが、時間とともに効果は減り、従業員も努力しなくなってしまう。

 次に取り組んだのが、サービスの提供プロセスを根本的に組み替えることだ。作業改善だけで一定の時間短縮は実現できるが、抜本的な時間短縮には現場の構造改革が必要だからである。一の湯のコンセプトである「気楽に宿泊できる温泉旅館」に合わせ、やる作業、やらない作業も決めていった。

 しかし作業の変更は簡単なことではない。作業の変更は旅館として提供するサービスの内容や品質に直結する。場合によっては、顧客満足に悪い影響を与えてしまう可能性もある。もし、そのようなことが起これば、労働時間の短縮に向けた取り組みが粗利益額の減少につながり、結果として人時生産性額を引き下げてしまう。

 そのため、一の湯は作業の変更を徐々に進める形にした。一の湯では今でも、何か新しい作業方法を導入する時は、まずやってみて2週間程度待つ。そこで宿泊客から決定的なクレームがなければ、その作業方法を継続するというやり方を取っている。

靴は宿泊客が自分で管理

 当初に行った作業改革が、宿泊客の靴の管理方法の変更である。多くの旅館では今も下足番がいる。玄関に立ち、宿泊客が到着したときに靴を預かり、出かけるときは靴を出す。しかし、個人客が多い旅館では、宿泊客の到着時間を事前に正確に把握することはできない。また出発だけでなく、ちょっとした外出などもあるため、常に従業員を下足番として配置しなければならない。

 宿泊客の出発は特定の時間に集中しがちだ。この場合、事前に玄関に靴を出しておくこともできるが、宿泊客が間違ってほかの人の靴を履いてしまうこともある。こうしたことが起こると、靴の交換やクレームへの対応などで従業員の作業時間はさらに長くなる。

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「旅館には下足番も布団敷きもいらない」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長