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第2回 「イノベーションを起こす方法はあるか」

イノベーターは実在の1人を想定して事業を創造する

  • 山口 高弘

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2012年12月26日(水)

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 イノベーションとは何か、そしてイノベーションを起こすためには何が必要なのかについて、前回は我々の考えを総論的に書かせて頂いた。

 今回は「イノベーションの概念は分かったが、実際に起こそうとすると、疑問だらけだ」という声に対して、中でもよく耳にする大きな5つの疑問にお答えしたいと思う。

 まず第2回から数回でお悩みに対する私なりの考えをお答えした上で、以降はイノベーションのWhatとHow論を展開していきたい。

イノベーションに挑戦する際に、抱えることが想定される5つの悩み
  1. イノベーションがどのようなものかは概念的には分かったが、どのように起こすのか検討がつかない
  2. イノベーションを創造するためには、何よりテーマ設定が重要であると思うが、どのようなテーマが適切なのか分からない
  3. イノベーション創出の方法論を身に付けても、そもそものマインドセット、スキルセットが伴っていないので、付け焼刃に終わるのではないか
  4. 優れたコンセプトは出せたと感じている。しかし常識をはるかに超えているため、うまく戦略に落とせない
  5. イノベーションを起こしたいが、誰に任せればよいのか、任せられる人材がそもそもいるのかどうかが分からない

イノベーションがどのようなものかは概念的には分かったが、どのように起こすのか検討がつかない

 1つ目の悩みである。

 この悩みに対して、最初に我々の結論をお伝えしたい。

 イノベーターの思考を一瞬でも妨げないこと

 唐突に聞こえるかもしれない。イノベーションといえども、何らかの方法論があるのではないか。このようなことが期待されるところではあるが、これは幻想である。

 方法論を必ずしも否定しているわけではないが、●●思考、●●法と呼ばれているものを踏襲してもイノベーションは起きない。例えば近年「デザイン思考」がコモディティ化してきているが、これらも同様である。

 イノベーションを起こすための方法論をいかに習得するかという発想では、イノベーションは起きない。

 イノベーターの思考を妨げず、いかんなくその創造性を発揮してもらうことがイノベーションを起こすための鍵である。そのために今回は、イノベーターがどのように新事業創造を素薄めるのかを見てみたい。

実在の1人のユーザーから全てを組み立てるイノベーター

 唐突であるが、イノベーターは「実在の1人のユーザー」を発見し、その1人のためだけにプロダクト・サービスを創り出す。

 意外に聞こえるかもしれないが、過去の巨大なイノベーションも実は実在の1人のために創られている。古くはソニーのウォークマン。当時名誉会長であり音楽家であった井深氏が飛行機の機内で音楽を楽しめないという不満を盛田昭夫氏が耳にしたことがきっかけとなり開発されている。近年では任天堂のWii。子どもがゲームに夢中でリビングに寄り付かないと悩む実在の母親のために創られた(諸説あるため一概には言えないが)。こちらも過去にさかのぼるが、モーツァルトは音楽業界がそれ以前は作曲依頼者のために受注生産で曲を作っていたところ、初めて「実在する女性のために」曲を作った。

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牛島 信 弁護士