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中国に言論の自由はいつ来るのか?

2013年1月9日(水)

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 リベラルな論調で知られる広東省の新聞「南方周末」は今年の新年特集として「中国の夢、憲政の夢」というタイトルの記事を出そうとしていた。「憲法に基づいて自由と民主を実現しよう」という内容だ。胡錦濤元総書記が2012年11月8日の第18回党大会で繰り返し主張した「政治体制改革」を習近平政権が実現するか否か、その決意のほどが試される記事であったといっていい。

 ところがこの記事は中国共産党広東省委員会宣伝部によって掲載を禁止され、「こんにちの中国は民族復興の偉大な夢に最も近づいた」という中国共産党礼賛記事に置き換えられたのである。正月明けに初めてそのことを知った同紙の記者は、2013年1月3日の中国のツイッターに相当する微博(ウェイブォー、中国内で禁止された「ツイッター」に相当するサービス)で経緯を暴露。言論弾圧だという怒りをぶつけた。

 すると、中国のネット空間はいきなり炎上。多くの網民(ネットユーザー、ネット市民)が「南方周末」を支持した。

 1月4日にはリベラル派の長老たちが主宰する雑誌「炎黄春秋」のウェブサイトが閉鎖されたばかりだ。

 1月7日、言論の自由を求めるメディア関係者は南方周末新聞社の付近に集まり、抗議集会を呼びかけた。応援は中国全土の知識人からも届いている。

 前回の記事で私は昨年の11月15日に選ばれた中共中央のトップ7名である「チャイナ・セブン」の布陣が、あまりに保守的であることを述べ、「これで政治改革ができるのか」と危惧したが、こんな形で早くも現実になってしまった。

 私が中国の「言論の自由」にこだわるのは、私自身が経験した革命戦争における惨事を、65年経った今も中国政府が認めようとしないからだ。

チャーズ 中国建国の残火』(朝日新聞出版)

 1947年晩秋、中国共産党軍(のちの中国人民解放軍)は私が住んでいた吉林省長春の街を都市ごと鉄条網で包囲して食糧封鎖し、数十万の市民を餓死に追い込んだ。私は長春を脱出するために「卡子(チャーズ)」という中間地帯に閉じ込められ、餓死体の上で野宿した。恐怖のあまり記憶喪失にまでなったこの経験を1984年に『卡子――出口なき大地』(読売出版社)として出版。中国語に翻訳し中国で出版しようとしたが、こんにちに至るも、出版許可は出ていない。

 しかし中国建国の父であり革命の父でもある毛沢東は、「自由と民主」を掲げて中国人民を革命に駆り立てていったのである。それを信じて、どれだけ多くの人民が命を失っていったことだろう。

 革命の犠牲者は、天安門広場にある「人民英雄紀念碑」に祀られている。これは革命戦争や日中戦争(中国側から見れば「抗日戦争」)で犠牲になった者を慰霊するために建立された記念碑だ。慰霊塔の正面には「人民英雄永垂不朽」(人民の英雄は永遠に不滅だ)という毛沢東の揮毫(きごう)がある。その裏面には周恩来による顕彰(けんしょう)文が彫ってあり、その中の一節に「三年以来在人民解放战争和人民革命中牺牲的人民英雄們永垂不朽」(ここ3年来の人民解放戦争と人民革命の中で犠牲になった人民の英雄たちは永遠に不滅だ)という文言がある。

コメント7件コメント/レビュー

最近の中国の発展に対して,何か違和感を感じていたのですが,今回のコラムを読むことでそのつかえが取れたような気がしました.中国共産党は表向きはきれいごとを言っていても,根本のところの人を人とも思わないような残酷な部分は変わることなく,受け継がれていくように思います.とはいっても今後も無視できる存在ではないので,心づもりを持ってやりとりしていくことが大事ですね.(2013/01/09)

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「中国に言論の自由はいつ来るのか?」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

最近の中国の発展に対して,何か違和感を感じていたのですが,今回のコラムを読むことでそのつかえが取れたような気がしました.中国共産党は表向きはきれいごとを言っていても,根本のところの人を人とも思わないような残酷な部分は変わることなく,受け継がれていくように思います.とはいっても今後も無視できる存在ではないので,心づもりを持ってやりとりしていくことが大事ですね.(2013/01/09)

この記事に中国共産党、いや中国人の本質が現れてるように思える。(2013/01/09)

「長春大虐殺記念館」を建設した日が中華人民共和国に言論の自由が到来した日でしょう。台湾人民を中国国民党軍が虐殺した1947年の【2.28事件】から数十年後、「台北ニニ八国家記念館」が建設されて、中華民国に言論の自由が到来したように。(2013/01/09)

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三品 和広 神戸大学教授