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「カイゼン」で病院は強くなる

製造業のノウハウを生かした山口県の宇部興産中央病院・その1

2013年1月24日(木)

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 高齢者が増え、医療は数少ない成長分野として期待されているにもかかわらず、経営に行き詰まる病院が増えている。特に地方都市にある病院の経営は厳しい。原因は様々だが、その1つに職場環境が苛酷なことによる医師や看護師の人材不足があるのは間違いない。

 必要な医師の人数を確保することができなければ、そもそも診療科を維持できないことは言うまでもない。加えて、病院では看護師も三交代で働いている。特に救急患者が運び込まれる急性期病院の職場環境は厳しく、そこで働く多くのスタッフは疲労困憊になっている。また、医療技術は日々、進歩し続けているので、医師だけでなく看護師たちも業務時間外に自己研鑽を続けなければならない。こうした要因から看護師の離職率は高く、看護師をいかに確保するかが病院経営上の大きな課題となっている。

 山口県宇部市の宇部興産中央病院もかつては厳しい経営環境に苦しむ地方の総合病院の1つだった。しかし、製造業のノウハウを積極的に導入することで無駄な作業を排除し、スタッフの労働環境を改善。赤字だった経営状況も黒字に転換することができた。今回はこの病院の改革の道のりを見ていきたいと思う。

当初は「結核診療所」だった宇部興産中央病院

 宇部興産中央病院はその名の通り、日本を代表する総合化学メーカーの1つである宇部興産が持つ企業内病院であり、社員の福利厚生を目的に設立された。

 宇部興産は現在の宇部市で1897年に創業。発祥は石炭の採掘で、事業の始まりは江戸時代まで遡る。その後は石炭採掘からセメント事業や化学工業分野へと中核の事業を替え、今では医薬品、建設資材、金属成形といった事業に多角化している。連結売上高は6000億円を超え、従業員数は1万人以上。その多くは今も工場が集積する宇部市にいる。

山口県宇部市にある宇部興産中央病院

 同社は事業展開に必要な港湾や道路、ダム、水道施設といった基本インフラの多くを自前で建設してきた。宇部興産中央病院もこの一環で1953年に開設された。当初は石炭採掘に伴って多く出ていた結核患者のために「結核診療所宇部興産サナトリウム」と呼ばれていた。当時は結核患者の療養所としての役割から、工場が集積している地域から少し離れたところにあったという。

 この診療所を66年に宇部興産中央病院と改称した。81年には総合病院となり、現在は救急車で来院する患者に24時間対応する急性期病院であるだけでなく、広く一般の市民も利用できる宇部市の拠点病院となっている。人口減少で周辺の病院で救急受け入れが難しくなっていることもあり、救急患者の受け入れ件数は増えている。

 同病院には330の一般病床があり、回復期リハビリテーション病床が42ある。従業員数は560人。派遣や委託の従業員を入れると約700人が勤務している。毎日の外来患者は600人弱で、入院患者は300人ほど。現在は、ほかの病院やクリニック、患者からの紹介で来院する患者が70%を超え、宇部興産関係の患者は全体の7%しかいない。

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「「カイゼン」で病院は強くなる」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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