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日本人は「ロボットの心」を創れますか?

スタンフォード大学名誉教授、エドワード・ファイゲンバウム氏に聞く

2013年1月28日(月)

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 日経ビジネスが新年より4回に渡って掲載してきた「動き出す未来」のシリーズ特集も1月28日号で最終回を迎える。1月28日号の特集のテーマは「インターネット」。普及期に入ってからまだ20年にも満たない歴史の浅いインターネットだが、今では企業、個人問わず、仕事や生活に欠かせないライフラインとしてその存在感を増している。日進月歩で急速な変化を続ける、この業界の未来を描くのは難しい。特集の執筆にあたり、日経ビジネスは様々な賢人たちに取材を進めた。「賢者が描く10年後のインターネット」では、世界の賢者の中から、選りすぐったインタビューを掲載する。第1回目はスタンフォード大学で名誉教授を務め、AI(人工知能)分野における「エキスパートシステムの父」と呼ばれるエドワード・ファイゲンバウム氏。本誌の特集「シリーズ動き出す未来(4)ネット化する70億人」とあわせてお読みいただきたい。

写真:KOICHIRO HAYASHI

AI(人工知能)分野で長きにわたって活躍されています。インターネットの行く末をどう見ているのでしょうか。

 インターネットは例えて言うならばハイウェイです。交通インフラの整備が人々の未来をどう変えたのかを語る上で、道路そのものを見てしまうと問題は正しく捉えられません。むしろアトム(物質)からビット(デジタル)への世界を見ることが正しい解へと導いてくれるでしょう。

 私に今、レンズを向けているカメラマンの方を例に取りましょうか。15年前、カメラマンはフィルムを使ってアトムの世界の写真を撮影していました。今、誰しもがデジタルカメラで撮影します。家に帰れば写真のデータをパソコンに移し、画像編集ソフトで操作するでしょう。このインタビューは紙に載るのかな?オンラインに載るのかな?もしこれがオンラインに記事として公開されるのであれば、写真はずっとビットのままです。つまり、アトムが存在しない社会が訪れているという点が重要です。

 米国の映像制作会社でピクサーという会社があります。米アップルの創業者である故スティーブ・ジョブズ氏が買収した会社として有名ですよね。ピクサーはディズニーのアニメで活躍していた300人のアニメーション制作技師の仕事を消失させました。デジタルで制作し、デジタルで転送して、デジタルでプロジェクターから映す。アトムが入る余地は無くなったわけです。電子書籍も同じ。米国での電子書籍の売り上げは昨年、一昨年の2倍に膨れあがりました。加速度的にアトムが消えゆく世界になっている。

 こうしたことを踏まえた上でインターネットを見てみましょう。ハイウェイをドライブする上で最も重要なものは何か。それはインタフェースです。素晴らしいインタフェースが無ければドライブそのものが快適ではなく、遠くまで行くこともできなくなる。インタフェースを差異化するものこそ、AIのプログラムなんです。

 私はアップルのスマートフォン「iPhone 4」も「iPhone 4S」も持っています。どちらも見た目は一緒ですが、1つだけ違う点がある。それは音声で様々なアシスタントをしてくれる「Siri(シリ)」です。Siriはもともと政府の補助金によって、3億ドルもの大金をかけて始められました。スタンフォードリサーチセンター(SRI)で研究が始められ、そこからスピンアウトして「i」を付けて「Siri」と名付けられました。

コメント7件コメント/レビュー

第一人者で知日家の説明にはとても説得力があり、日本の現状がとてもよく理解できました。ソフトウェアに対する日本の感覚は、「モノづくり」という言葉からも分かるように、馴染みがなく、意識も低いのですね。私は製造業に携わっていますが、ソフトウェアやアプリケーションに対して、意識して観察していきたいと思いました。(2013/01/28)

「賢者が描く10年後のインターネット」のバックナンバー

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「日本人は「ロボットの心」を創れますか?」の著者

原 隆

原 隆(はら・たかし)

日経コンピュータ記者

宮崎県出身。お酒が好きです。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

瀧口 範子

瀧口 範子(たきぐち・のりこ)

ジャーナリスト

シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、社会、文化、時事問題、建築、デザインなどを幅広く日本のメディアに寄稿。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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第一人者で知日家の説明にはとても説得力があり、日本の現状がとてもよく理解できました。ソフトウェアに対する日本の感覚は、「モノづくり」という言葉からも分かるように、馴染みがなく、意識も低いのですね。私は製造業に携わっていますが、ソフトウェアやアプリケーションに対して、意識して観察していきたいと思いました。(2013/01/28)

単なる欠点を上げ連ねたような批判とは全く違い、日本企業や官僚が見ようともしない現状を鋭く指摘していると思う。それだけ日本に詳しい外国人というわけで、こういう眼識が企業などには欠けていると思った。また日本を代表するアプリ(ソフトウェア)としてはLINEをもてはやす動きがあるが、本当にあれを日本代表としていいのだろうか?(2013/01/28)

ファイゲンバウム氏が、AIの性能を「人間の命令を忖度できる度合い」で評価している点が興味深い。これは召使の性能評価基準である。ロボット三原則を含むアメリカSF史を紐解いても、これはアメリカ人の一般的な感性である可能性が高そうだ。一方、Mosaic.wavの名曲『電気の恋人』やマンガ・アニメ・ゲームの歴史を想像するに、日本人がAIの性能評価基準を作ると「友達や恋人になれるか」が先頭に来る人が大半のように思える。この点から考えるなら、氏が評価するAIを日本人が作ることは今後ともなさそうだ。少なくとも優先順位は低いままだろう。召使とは友達になれない。しかしその一方で、『初音ミク』や『小早川凛子』達は、日本人の願望だか好意だか欲望だかを反映して、今後も人間っぽくなり続けるだろう。氏がAIの心を論じながらこうしたゲームを無視しているあたり、日本の作るAIがファイゲンバウム氏にAIとしてとらえられることは、今後とも無いかもしれない。しかしそれでいいのではないかと思う。日本とアメリカが同じ方向を向く必要などない。それぞれが望む方に向かう方が開発ははかどるだろうし、確実にAIの可能性を芳醇なものにするだろう。(三諸)(2013/01/28)

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