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「病院は工場と同じ」

製造業のノウハウを生かした山口県の宇部興産中央病院・その2

2013年1月31日(木)

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 メーカーのノウハウを取り入れ、病院の様々な業務を改善し、黒字経営を果たした山口県宇部市の宇部興産中央病院。その改善活動は、看護師の仕事にも及んだ。

 看護師がやらなければならない仕事は多い。観察や処置、記録といったものだけでなく、食事の介助や運搬、入浴といった生活支援の作業にも多くの時間を割いている。ほとんどの作業は繰り返し行われるもので、その作業の一部でも定型化できれば肉体的な負担が軽減される。そのため、宇部興産中央病院では、看護師のサービス品質を高めるために、ナースステーションなどでの作業の改善活動を進め、過重労働を減らす努力を進めてきた。

 看護師は病歴などの情報の聞き取りや処置内容の記録に多くの時間を費やしている。その一方で、こうした作業の品質は個人差が大きいという。メモを取ってからまとめて入力作業を行う看護師も多くいたが、これでは二度手間になってしまう。看護師にとって最も大事な仕事は、患者の観察や処置である。そのため、パソコンの稼働状況を調査して、入力作業の簡素化に取り組んだ。

 病室での処置も重労働で、看護師の多くはストレスを抱えている。こうしたストレスを軽減しようと、患者の身体を拭く作業を、誰にでも簡単にできる方法に標準化。作業時間を短縮した。

 作業を標準化したことで身体を拭く時間は半分になり、2日に1回しかできなかった作業を毎日できるようになった。患者の満足度を上げながら、生産性を向上させることができるようになったのだ。

 また、看護師が病室に持っていく台車を工夫することで移動する際の歩数を減らしたことで、患者に接する時間を1人当たり8分長くなった。これにより、患者の変化により気づきやすくなり、情報量も増えた。こうして得た情報をきちんと医師に伝えることができれば、必要な処置も早く進めることができ、患者の満足も高まる。

医薬品は「ジャスト・イン・タイム」で

 これから取り組まなければならない課題もある。各病棟には医薬品が過剰に保管されている。これは医師から指示があったときにすぐに対応できるようにするためであり、薬剤部に毎回取りに行く面倒を避けるためでもある。

 医薬品は薬剤部から持ち出された時に売り上げが計上されるため、病棟にある薬剤は実際にはまだ使っていない状況であるにもかかわらず、費用が発生してしまっている。病院には治療結果を受けて保険請求してから、2カ月後に売り上げが振り込まれる。医薬品の問屋には支払いはその後になるが、宇部興産中央病院では実際に医薬品が使われるタイミングと薬剤部から持ち出す期間をできるだけを短くし、運転資金の平準化を目指している。

 つまり病院内で必要時に必要な分だけ医薬品を供給できる物流体制を確立することで、実際の使用量が分かり、病院全体の医薬品の在庫やロスを大きく減らすことができるというわけだ。トヨタ自動車が工場で行っている「ジャスト・イン・タイム」のような仕組みを、病院内の医薬品に取り入れようとしていると言えば、分かりやすいだろうか。

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「「病院は工場と同じ」」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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