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「人民日報」が断言していた「尖閣諸島は日本のもの」

2013年2月22日(金)

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 前回の記事では、「中華民国」国民政府の主席である蒋介石が、かつて尖閣諸島の領有を放棄した事実と、それを中国共産党が自らのメディアで公開していることをお知らせした。

 これに関して、「そんなことをいっても、現在の中国(中華人民共和国)は、『あれは中華民国の主席が言ったことであって、中国とは関係ない』と言われるのがオチだ」という主旨のコメントをいただいた。

まずちょっとだけ解説を

 この点に関して少しだけ説明をさせていただきたい。

 中国は「一つの中国」を大前提として1971年に国連に加盟した。日本やアメリカ合衆国と国交正常化をするときにも必ず「一つの中国」を条件とした。「一つの中国」とは主として「台湾を中国の不可分の領土」とする立場を意味し、「中華人民共和国」を唯一の「中国」を代表する国家である、とする言葉だ。

 その根拠に関して、2004年3月14日、温家宝首相は全人代(中国の国会に相当)の後、次のように述べている。

中国が台湾に対して有している主権は、「カイロ宣言」および「ポツダム宣言」において明確に規定されている。

 カイロ宣言、ポツダム宣言で中国を代表する立場にあったのは、蒋介石である。

 つまり中国は、かつての「中華民国」の主席(のちに総統)であった蒋介石が発言した「カイロ宣言」を基軸として領土問題を主張しているのである。だからこそ、2012年9月27日、中国の楊外交部長もまた尖閣諸島(釣魚島)の領有権を主張する際に、この「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」に根拠を置いた。

 この基礎知識を共有していないと、「カイロ密談」の舞台裏を発掘した意義はご理解いただけないだろう。ご迷惑をおかけした。

 気になったのは「何を言ったところで、中国はなんだかんだととぼけたり難癖を付けてまともに対応しないだろう」という声の意外な多さだ。「無益な論争に巻き込まれるのはムダだ」という態度は理解できないではないが、しかしそれなら私たちに何ができるだろう。ただ武力衝突を待つのか、それとも日本の軍備を強化するのか。いずれにしても行きつく先は戦争か日本の敗北だ。それを招かないようにして次世代を守っていくために努力するのは、筆者は無駄なことではないと思う。

 気楽な読み物としてはしんどい、ということならばお詫びするしかないが、私も、そして多くの読者の方々も、真剣に日本を守りたいと思ってこのページをご覧いただいていると私は信じたい。そのためにも、疑問にはできる限りお答えしていくつもりだ。

 コメントの中には「カイロ密談」の信憑性を疑うものもあった。これに関しては次回の記事で、アメリカ公文書館にあった議事録をご紹介することを予告しておこう。

 さらに「カイロ密談」において琉球群島(=沖縄県)を論じる時に「尖閣諸島」が「台湾の所属か」それとも「沖縄に帰属するのか」が問題となるというご意見もあるだろう。

 「尖閣諸島は沖縄県に所属し、沖縄県は日本の領土である」ことに関して、「カイロ密談時」では微塵も疑問がもたれなかった。日清戦争の講和条約である下関条約の時にも「尖閣」も「琉球(沖縄)」も、台湾に属する可能性については一切言及されていない。その議事録を発掘し、それを拙著『チャイナ・ギャップ 噛み合わない日中の歯車』で資料付きで説明している(p.158)。疑問を抱かれる方は、そちらをご覧いただきたい。


現在につながる中国政府はどう発言してきたか?

 さて、国民党政府が領有を否定したという事実は事実として、では1949年10月1日に誕生した中華人民共和国(以下、中国とのみ表記)は、「尖閣諸島」を含んだ「琉球群島」を、どのように位置付けていたのか。今回はこれがテーマだ。

 結論を先に述べる。

 中国は「尖閣諸島」を中国流の「釣魚島」と呼ばずに日本流に「尖閣諸島」と呼称し、かつ「琉球群島(沖縄県)に帰属する」と定義している。また琉球群島に関して「いかなる国際協定も琉球群島が日本から脱離すると言ったことはない」(日本に帰属することを否定したことはない)とさえ言っている。これはつまり「尖閣諸島は中国のものではない」と中国政府が断言していたことを証明するものである。

 この発言は、中国共産党の機関紙である「人民日報」が何度も載せている。また「人民日報」だけでなく、毛沢東自身も明確に「沖縄県は日本の領土」と言明し、そのときに「尖閣諸島」を除外していない。その記録も含めてご紹介する。

【典拠1】1953年1月8日付け「人民日報」

 「人民日報」には昔から「資料」という欄があった。一般の記事や社説とは別に、あまり社会現象を知らない人や、何かしらの話題となっているトピックスに関して、別枠で解説する「親切欄」だ。

 1953年1月8日付の「資料」欄には「アメリカの占領に反対する琉球群島人民の闘争」と言うタイトルの解説が載った。

『チャイナ・ギャップ』p.131の資料5より

 この「資料」欄の最初の部分には以下のようなことが書いてある。

琉球群島は我が国・台湾東北と日本の九州西南の海面上に散在しており、尖閣諸島、 先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、トカラ諸島、大隅諸島等を含む、七組の島嶼(とうしょ)から成る。

 このように定義した上で、「アメリカ帝国主義の占領に対して琉球人民が抗議し闘争している」ことを紹介している。そして「琉球人民よ、頑張れ!」と「エール」を送っている。

 中国流の呼称である「釣魚島」を使わず日本的呼称の「尖閣諸島」を用いて表現し、かつ「尖閣諸島」を「琉球群島」の領土として定義しているのである。

 これは「尖閣は日本の領土」と認めているということだ。

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「「人民日報」が断言していた「尖閣諸島は日本のもの」」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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