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「ゾンビ企業退治」を狙うアベノミクス

国の競争力強化に必要な、企業の健全な新陳代謝

2013年3月8日(金)

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 安倍晋三首相が掲げる経済政策、いわゆるアベノミクスの「3本目の矢」が狙う的が見えてきた。

 3本目の矢として「民間投資を喚起する成長戦略」の策定を急ぐ産業競争力会議(議長・安倍首相)が取り上げる「重要事項」が固まり、全体会議とは別に「テーマ別会合」が設けられたのだ。重要事項の決定に際しては民間議員の意見に加えて「総理指示」が大きくモノを言った。

 テーマとして掲げられた「重要事項」は7つ。「産業の新陳代謝の促進」「人材力強化・雇用制度改革」「立地競争力の強化」「クリーン・経済的なエネルギー需給実現」「健康長寿社会の実現」「農業輸出拡大・競争力強化」「科学技術イノベーション・ITの強化」である。

 これまでの政権も繰り返し成長戦略を描いており、今回、産業競争力会議が打ち出した7つの中にも共通するテーマが少なくない。だが、「産業新陳代謝」と「農業輸出拡大」はどうやらアベノミクスならではの、新機軸になりそうだ。

「戦える農業」作り出す戦略

 農業輸出拡大は安倍首相が推進したい「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」への交渉参加と対をなす政策と考えていい。「TPPで大打撃を被る」と主張する農業団体を中心とした批判を抑え込み、TPPをむしろ活用して「戦える農業」を作り出そうという戦略だ。この農業の競争力強化策については、別途詳しく取り上げたい。

 今回は産業競争力会議が「重要事項」として真っ先に掲げた「産業新陳代謝」に注目したい。新陳代謝とは要するに、役割を終えた企業・産業の退場を促進して、新しい企業・産業を生み出そうということだ。もちろん、これまでの成長戦略でも「新産業の育成」は常に課題として掲げられてきた。だが、「役割を終えた企業の退場」を政策として真正面から取り上げようというのは、おそらく初めての試みだろう。

 産業競争力会議が、役割を終えた企業の退場を取り上げたのには理由がある。弱い企業が銀行の追加融資や政府の補助金などで生き残ることによって、強い企業の足を引っ張り、その産業の日本としての競争力を損なっている、という思いが民間議員の中にあるためだ。産業政策を担ってきた経済産業省もかねてから、同一産業内に多くの企業が存在することで、国内での消耗戦が起き、日本企業は低収益に喘いでいると分析してきた。主要製品で1社に集約した韓国などに競争力で劣ってしまった、というのだ。

 もっとも、経産省の場合、その対応策として、官が主導して企業の合従連衡を促すことや、重点産業を決めてそこに補助金などを集中投下することを求めてきた。実際、円高立地補助金などの形で、それは実行されてきた。アベノミクスでも当初打ち出された「ターゲティング・ポリシー」という言葉には、この経産省流の産業政策が色濃く反映されている。かつて高度経済成長期に重点産業にヒト・モノ・カネを集中投下した「傾斜生産方式」を彷彿とさせるものだ。

 だが、今回の産業競争力会議が打ち出そうとしている対策は大きく違う。

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「「ゾンビ企業退治」を狙うアベノミクス」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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