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「休戦協定を白紙化する」~金正恩の強硬姿勢は内政危機の表れ

2013年3月13日(水)

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 昨年12月のロケット発射以降、北朝鮮の動きが強硬になっている。このほど「朝鮮戦争の停戦協定を白紙にする」と明言した。拓殖大学の荒木和博教授は「金正恩氏は内部で見限られる恐れがあるから」と分析する。(聞き手=森 永輔)

昨年12月のロケット発射以降、北朝鮮の動きが強硬になっているように見えます。今年1月23日には外務省声明を出し、「(2005年に6か国協議で出した)共同声明は死滅し、朝鮮半島非核化は終末を告げた」と宣言しました。2月12日は第3回目の核実験を実施。3月8日には、祖国平和統一委員会が、南北不可侵に関する過去の合意をすべて破棄すると明言しました。さらに11日には、朝鮮戦争の停戦協定を白紙にする、とエスカレートしています。

 このように強硬な姿勢を取り続けると、北朝鮮は国際社会と妥協することが難しくなるのではないでしょうか。金正恩第1書記が「やっぱり非核化もあり得る」と前言を翻せば、北朝鮮の国内からの反発が強まります。

 そうしたリスクがあるにもかかわらず、交渉のハードルを引き上げた。ということは、今回の強硬姿勢はかなり本気だということなのでしょうか。

荒木 和博(あらき・かずひろ)
1956年東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。民社党本部で教育・広報・青年運動などを担当。1997年、拓殖大学海外事情研究所専任講師に就任。以後助教授を経て現職。この間、現代コリア研究所研究部長、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会事務局長を歴任。2003年、特定失踪者問題調査会設立 に伴い同会代表。現在予備役ブルーリボンの会代表・戦略情報研究所代表・国家基本問題研究所評議員・予備一等陸曹。著書に『なぜ北朝鮮は崩壊しなかったのか』(光人社NF文庫・2011年)、『日本が拉致問題を解決できない本当の理由』(草思社・2009年) など。

荒木:そこまで強硬なことを言わなければならないほど、国内がもたなくなっているということでしょう。何か1つ体制を揺るがす動きが起これば、破局にまで行ってしまうしかないのではないか、と懸念しています。

「破局」というのは具体的にはどういう状況ですか?

荒木:例えば金正恩第1書記に対するテロが起きて、政権の中枢が崩壊するかもしれません。最近、金正恩氏は、ほとんど視察をしなくなりました。地方にも足を運んでいない。恐らく、出にくい、あるいは出られない状態にあるのではないかと思います。

北朝鮮の朝鮮半島統一のシナリオは金正恩政権になっても生きているのでしょうか。核とミサイルを交渉の材料にして、アメリカと平和協定を結ぶ。平和協定を理由に、米軍に朝鮮半島からの撤退を求める。その後は核とミサイルをてこに半島統一を進める。

荒木:シナリオは生きています。「対南武力統一」の方針は一切放棄していません。「武力統一」ですから米軍を撤退させ、その後は地上軍による侵攻というのが本来のシナリオです。ただ、北朝鮮の人民軍が韓国を全面占領することは不可能ですから、韓国内の親北勢力を動かして宥和政策を拡大させ、実質的に朝鮮半島全体を自らの意のままに動かすということでしょう。この時、米国や日本に対しては核とミサイルで牽制する。韓国には「ソウルを火の海にする」と威嚇する。この方針自体が金正恩体制の生き残りの手段になっていると思います。

金正恩氏は権力基盤を確立できていないのでしょうか?

荒木:できていません。金正恩氏は、金正日氏が亡くなってしまったので、「ともかく体制を維持しなければならない」という、それだけの理由で立てられた人物です。自ら政権を率いるための準備は全くできていなかった。

金正恩氏は消去法で担がれた

 金正日氏の場合は、その父親である金日成氏が後ろ盾にいる状態で20年間、助走期間がありました。金正日氏は助走期間中に、金日成氏から権力を少しずつ奪い取っていった。情報も父親に直接上がらないようにしていった。それでも父親が死んでから3年間、最も重要な役職である労働党総書記に就任することができなかった。今の正恩氏はその20年分が全くないわけです。

 こんな状態が長く続くとは、政権の幹部たちも思っていない。子息を貿易会社などに入社させて、外国に出している者もいる。今、中国もちょっと似ているところがありますね。幹部たちはいつでも逃げられるように保険を掛けておいて、その上で、政権にしがみついている。

 だから、何かの理由で現在のバランスが崩れた場合にどうなるかと懸念しているのです。

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「「休戦協定を白紙化する」~金正恩の強硬姿勢は内政危機の表れ」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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