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秘密兵器は顧客の家の中が“丸見え”の「顧客台帳」

【第3回】エアコンの台数から洗濯機の購入時期まで調べてしまう

2013年3月14日(木)

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 1996年に量販店進出への対抗策として粗利益率重視の経営にかじを切った際、経営目標を「売り上げが3割減っても、粗利益率を25%から35%へと高める」ことに据えた後、私は商圏と顧客の見直しを図りました。

 まずは商圏の絞り込みです。一応、ヤマグチの商圏は東京都町田市と定めてはいましたが、「売れるのだから、まあいいか」と、それ以外の遠い地域に住む方々にも販売していました。そうなると商圏なんてあるようでないに等しい。

 そこで町田市に商圏をしっかり定め、遠方の顧客は訪問対象から外しました。それ以外のエリアへの営業は、原則しないと決めたのです。

 次に、お客様の数を3分の1に減らしました。当時、顧客台帳には3万4000件くらいのお客様が登録されていましたが、その数は、一気に1万1000件ほどに減りました。顧客を捨てるとは、優良顧客とその見込み客だけに対象を絞り込むことです。

見かけだけの顧客は要らない

 顧客数が多いと一見安心ですが、これは見かけだけのもの。それまで累計で何百万円も購入したお客様でも、直近で5年間、ヤマグチから何も買っていなければ顧客台帳から外しました。そういうお客様には、ダイレクトメールも出さなければ戸別訪問にも行かない。こちらからは何もアプローチしないことに決めたのです。

 とにかく顧客と接する回数を増やすことを第一に考えました。顧客一人ひとりに割く時間を増やさないと、結果として顧客のかゆいところに手が届きません。ましてや、かゆくなる前にかくなんて無理ですから。高売りに転じる以上、十分なサービスができなければ、顧客は納得してヤマグチとは付き合ってくれないだろうと考えたのです。

「でんかのヤマグチ」の営業車はシマウマ模様。街中でひと際目立つ(写真:菊池一郎)

 商圏を狭めるのも、顧客の数を減らすのも、量販店の考え方とは逆だと思います。何も私はひねた考えで逆を行こうと思ったわけではありません。ヤマグチにとっては、その方が素直で合理的だったからです。

 商圏を広げて顧客を増やし、大勢から少しずつ売り上げを集めるのではなく、数は少なくても「家電は全部ヤマグチから買うよ」と言ってくれるような上得意客の割合を少しでも増やす。それが、粗利益率アップという作戦を成功させるための最良の道だと思ったのです。

情や勘では勝てない。情報こそが最大の武器

 日本のプロ野球球団、東京ヤクルトスワローズが野村克也監督だった時代、「ID野球」という言葉が流行語になりました。読売巨人軍の監督だった長嶋茂雄氏が天性の勘で野球をする「カンピュータ」と呼ばれたのに対して、データを重視して戦ったからID(Important Data)野球というわけです。

 ヤマグチは、どちらかというと営業担当者の情とか勘を頼りに営業している「カンピュータ営業」ではないか、と思われがちです。しかし、意外かもしれませんが、データもしっかり活用する「ID営業」なんです。

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「秘密兵器は顧客の家の中が“丸見え”の「顧客台帳」」の著者

山口 勉

山口 勉(やまぐち・つとむ)

ヤマグチ代表取締役

1965年に東京・町田市でパナソニック系列の家電販売店「でんかのヤマグチ」を創業。90年代後半、大手量販店の進出を受け、訪問販売を主軸にきめ細かなサービスを提供する経営へ転換。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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