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【最終回】全人代から読み解く習近平政権の内実と対日政策

2013年3月22日(金)

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 3月5日に始まった中国の全人代(全国人民代表大会)は3月17日に閉幕した。この日から習近平新政権が本格的にスタートする。

 「中国国盗り物語」はちょうど1年前の全人代からスタートした。その1年後の全人代の閉幕を見届けて最終回としたい。今回は全人代から見えてくる習近平政権の課題と内実、そして対日外交を読み解くこととする。

人事の注目点――李源潮が国家副主席になった意味

 この大会で選ばれたのは国務院(中国人民政府)という中国の行政を司る機関を構成する人事だった。その結果は、2012年11月29日に公開した本連載の「新たなチャイナ・セブンに隠れた狙い―実は胡錦濤の大勝利」で予測した結果と完全に一致した。何よりもホッとしたのは国家副主席人事が的中したことである。

 3月14日、全人代では国家副主席などの重要なポストの選挙が行われたが、国家副主席に当選したのは李源潮。昨年の党大会で「チャイナ・セブン」(中共中央政治局常務委員)に抜擢されるだろうと早くから期待されていた共青団のホープだ。利益集団に果敢に切り込み、あちこちから恨みを買っている。   

 幹部を断罪するか否か、実際に決定してきたのは胡錦濤時代のチャイナ・ナインで、その指示を受けて中共中央紀律検査委員会が取り調べを行うのだが、処罰に関する宣言をするのは中共中央組織部の長である李源潮だったため、利益集団は彼を嫌った。その結果が投票数にも如実に表れている。

 たとえば習近平の国家主席就任に関する票決は2956票中、「賛成:2952票、反対:1票、棄権:3票」に対して、国家副主席にノミネートされた李源潮に対する投票結果は「賛成:2829票、反対:80票、棄権37票」と、議場に軽いどよめきが起きるほどに反対票が多かった。

 胡錦濤が李源潮を推し、習近平が支援していなければ、ノミネートさえされなかっただろう。李源潮は政治局常務委員ではなく、単なる政治局委員だ。通例は常務委員でなければなれない国家副主席に李源潮がなった意義は大きい。

 その背景にあるのは「チャイナ・セブン」に関しては妥協するしかなかった胡錦濤派閥の事情だ。習近平と連携している胡錦濤率いる共青団は、江沢民に代表される利益集団と対立した。それを補うためのパワーバランスであったと思う。

 ただ、となると「チャイナ・セブン」でない国家副主席が、どのような役割を果たすかということになる。飾りだけだと批判する者もいるが、それは少し違うだろう。なぜなら中共中央には多くの直属組織や特定分野の「領導小組」(指導グループ)がある。その中の「中共中央外事工作領導小組」の組長は一般に国家主席が、副組長は国家副主席が担う。李源潮は今でもすでに中国の特別行政区である「香港・澳門(マカオ)・厦門(アモイ)」を管轄しているので、外事を担いながら国家主席を補佐することになろう。

 国家主席が事故や病気で公的行事に出られない時には国家主席代理として登場するのも国家副主席だ。決して「形だけ与えておいてやろう」といった利益集団の思惑通りにはいかない。

 李源潮を国家副主席に持ってきた意味は、「利益集団に切り込む姿勢」を人民に見せるメッセージでもある。習近平体制はチャイナ・セブンの顔ぶれに代表される利益集団寄りではなく、彼らを解体し、政治体制改革を断行するのだ、というメッセージだ。こうして現体制に対する国民の不満を解決する方向のシグナルを発したと言っていいだろう。

10年後のトップは胡春華

 胡錦濤系列の周強(共青団)を最高人民法院院長(最高裁判長)に指名したのも、利益集団に有利な判決が出ないようにするためだとみなしていい。

 周強はかつて、10年後の国家主席(&総書記)として胡春華とともに宿望されていた人物の一人。この胡春華に関する詳細は本連載の2012年11月2日「間もなく党大会。チャイナ・ナインの空席は最大7つ」にある小見出し「10年後の国家主席? 胡春華」の部分をご覧いただきたい。

 また2012年11月29日に公開した「新たなチャイナ・セブンに隠れた狙い――実は胡錦濤の大勝利」の中の小見出し「5年後を見据えたグランドデザイン」でも胡春華というキーパーソンに関して説明している。

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「【最終回】全人代から読み解く習近平政権の内実と対日政策」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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