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国民をミスリードする「国民負担率4年ぶり低下」の報道

悲願達成のため2.7%の経済成長を織り込んだ!? 財務省

2013年3月22日(金)

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 財務省は3月19日、2013年度(平成25年度)の国民負担率の見通しを公表した。国民負担率とは、国税や地方税など「税負担」と年金などの「社会保障負担」の合計を、国民所得で割ったもの。つまり税と社会保障の負担感、重税感を示す指標と言える。毎年この時期に翌年度の負担率見通しが公表されるのが慣例だ。

 この発表を受けて新聞各紙は「国民負担率4年ぶり低下」「新年度は40%、4年ぶり下落」と一斉に報じた。発表資料には「国民負担率(対国民所得比)の推移」という表が付いており、2008年度40.3%→2009年度38.1%→2010年度38.5%→2011年度40.0%→2012年度40.2%→2013年度40.0%となっている。この表に従えば、2013年度は確かに4年ぶりに負担率が低下することになる。

 だが、この表の欄外を見ると、2011年度までは実績、2012年度は実績見込み、2013年度は見通しであるという注記がある。見通しとは、国民所得がどれだけ増減するか、税収もどれだけ増減するか分からない段階での、いわば皮算用ということなのだ。あるいは財務省流の「目標値」「願望値」と言った方がいいだろうか。

ニュースにすべきは2011年度実績の「40%」超え?

 本来、ここでのニュースは2011年度の実績で国民負担率が40%に乗った、ということだろう。2008年度にも40.3%という数字があるが、これはリーマンショックによって国民所得が前の年度の381兆円から355兆円へ6.9%も減少したことによる。一時の特殊要因と見ることもできる。その2008年度を除くと1970年度(昭和45年度)以降、初めて確報値として国民負担率が40%の大台を記録したのである。

 1970年度の国民負担率は24.3%。税負担率が18.9%、社会保障負担が5.4%だった。これが40年たって2011年度には税負担が22.9%、社会保障負担17.1%にまで上昇した。やはり社会保障費の負担が急速に重くなっているが、税負担も増えている。

 40%という数字をどう見るか。発表資料には別の資料も付いている。「国民負担率の国際比較」だ。日本の40.0%に対して、アメリカ30.9%、イギリス47.3%、ドイツ50.5%、スウェーデン58.9%という数字が並ぶ。要は、アメリカは例外だが、欧州やその他の国に比べて日本の国民負担率は低い、ということを物語っている。だが、本当に40%は軽い負担なのだろうか。

 学校の歴史教科書では「重税に苦しんだ」江戸時代の農民に課せられた年貢を「4公6民」あるいは「5公5民」と記載している。年貢は4割か5割だったというのだ。幕府直轄の「天領」などでは実質2割以下だったところもあるという。国民負担率の40%というのは江戸期の年貢と同じ水準に達したとみることもできるのだ。

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「国民をミスリードする「国民負担率4年ぶり低下」の報道」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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