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飲食店から旅館、そしてまた飲食店へ

新潟県湯沢町の温泉旅館「HATAGO井仙」・その2

2013年3月28日(木)

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 時代のニーズに合った旅館を追求してきた新潟県湯沢町の「HATAGO井仙」。かつては、スキー客や出張者を多く受け入れていたが、バブル崩壊後は同窓会プランを仕掛け、中高年の男性団体客の獲得に成功した。2005年には大改装を実施し、旅籠をコンセプトにして、個人客にターゲットを絞ることになった。

 個人客に絞るとはいえ、宴会のニーズがなくなるわけではない。そこで宴会場である大広間に露天風呂をつけ、最大15人まで宿泊できるグループ用の客室とした。現在、増えてきている3世代の大人数の旅行だけでなく、研修や大学のゼミにも気楽に使える、宴会場を兼ねた客室にしたのだ。

 この宴会場は会議などにも使用できるよう、プロジェクターやスクリーンも設置した。会議室や客室としても使えるようにしたことで、宴会場を売り上げにつながる空間に切り替えることができた。

料理の変更は「徐々に進める」

 「HATAGO井仙」では、料理の改革にも積極的に取り組んできた。かつてはお膳でまとめて料理を提供していた。井口智裕社長は料理の内容や提供方法を変えると「基本的に客層を入れ替えることになる」と感じていた。そこで施設の改修をしても、料理の変更は徐々に進めるようにした。

 料理の内容を「自然食」にしたこともあった。たが、これは顧客に理解されず、徐々に懐石料理に近づいていった。すると宿泊客から「どこにでもある旅館の料理をきれいな皿に盛り付けしているだけ」と宿泊客から指摘された。そこで御造りを料理から外してみた。御造りは和食の中心にあり、ほかの料理と組み合わせると似たようなパターンになると感じたためだ。

 現在の「HATAGO井仙」では、懐石料理のパターンにとらわれることなく、旬の食材を使う“和食”に絞り込むようにしている。また、越後湯沢は酒処であるが、ワインで料理を楽しめるようにした。「HATAGO井仙」では日本酒もワイングラスで出す。これにはちょっとした効果があった。酒1合は180ccであり、ワイングラスは120ccである。単価は下がったが、180ccで2杯は飲めないが1杯では物足りない客が、気楽に追加注文できるようになったのである。

 料理はレストランで提供する。そこは宿泊客専用ではなく、外部の利用客も自由に出入りできる。オープン当初は、駅前という立地もあって、ランチタイムにはそばやうどんも提供していたが、2008年にコース料理に特化。昼食では定食とコース料理を提供する。

 コース料理は客の食べるスピードで調理しなければならないため、レストランはオープンキッチンにして、調理場から客が見えるようにした。2005年の改装開業からの現在まで8年間で、厨房のレイアウト変更は実に3回。調理人の作業性を高めるためだ。

「HATAGO井仙」で提供される料理(左)と厨房

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「飲食店から旅館、そしてまた飲食店へ」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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